抗てんかん薬 TIPS

全般
 ① 神経症状(眠気、ふらつき)
 ② 皮膚症状(薬疹)
 ③ 血液障害(白血球減少)
 ④ 精神症状(易興奮性、自発性低下)
 ⑤ 検査値異常(肝機能)
等のSEが多い。長期服用になるので注意が必要だが、コンプライアンスは重要。
規則正しい生活、服用
種類と作用

  • Naチャネル阻害
    • カルバマゼピン、フェニトイン、ラモトリギンゾニサミド、ラコサミド
    • 焦点性てんかん
  • 高電位依存型Caチャネル阻害
    • ガバペンチンラモトリギントピラマートレベチラセタム
    • 焦点性てんかん
  • GABA代謝阻害
    • ガバペンチン、ビバガトリン
    • 焦点性てんかん
  • 抗グルタミン酸受容体作用
    • トピラマートフェノバルビタールラモトリギンペランパネル
    • 焦点性てんかん 、全般性てんかん
  • GABAA受容体活性化
    • フェノバルビタール、BZ
    • 焦点性てんかん 、全般性てんかん
  • シナプス小胞蛋白への作用
    • レベチラセタム
    • 焦点性てんかん 、全般性てんかん
  • 低電位依存型Caチャネル阻害
    • エトスクシミド、バルプロ酸、ゾニサミド
    • 全般てんかん(小児欠神てんかん、ミオクロニー脱力てんかん)
  • AMPA受容体遮断作用
    • ベランパネル

テグレトール:カルバマゼピン
選択的焦点性てんかん薬(急速なNaチャネル阻害)
高用量で複視・ふらつき
全般てんかんには有効性が低い。
① 精神運動発作、てんかん性格・てんかんに伴う精神障害、てんかん痙攣発作:強直間代発作(全般痙攣発作、大発作)
② 躁病、躁鬱病の躁状態、統合失調症の興奮状態
③ 三叉神経痛

併用禁忌:ポリコナゾール、タダラフィル、リルビビリン

アレビアチン・ヒダントール:フェニトイン
選択的焦点性てんかん薬(急速なNaチャネル阻害)
焦点性てんかんに対して最も強力な有効性を示す薬剤の一つ。
中毒になりやすい。長期服用で、歯肉増殖、末梢神経炎などのSEが出現するので、可能であれば第一選択薬にしない。
① てんかん痙攣発作:強直間代発作 (全般痙攣発作、大発作)、焦点発作(ジャクソン型発作を含む)
② 自律神経発作
③ 精神運動発作

併用禁忌:タダラフィル

ビムパッド:ラコサミド
緩徐なNaチャネル遮断
焦点性てんかんに用いる。カルバマゼピンと同等。SEはめまい、ふらつき。
カルバマゼピン、フェニトイン、ラモトリギンとの併用により小脳失調の恐れがある。
① てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)

ガバペン:ガバペンチン
選択的高電位活性型Caチャネル阻害薬
焦点性てんかんに対しのみ適応。薬効は相対的に弱い。腎排泄のため相互作用少ない。
高齢発症のてんかんについては、ラモトリギンとガバペンチンのみが高い有効性。
① 他の抗てんかん薬で効果不十分なてんかんの部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法

トピナ:トピラナマート
広域スペクトラム抗てんかん薬(複数作用点)
AMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体抑制薬
焦点性・全般性てんかんへの追加投与が適応。
新規抗てんかん薬の中では最も強い方だが、発汗減少、尿路結石、体重減少などの特異的SE。
① 他の抗てんかん薬で効果不十分なてんかんの部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法

ラミクタール:ラモトリギン
広域スペクトラム抗てんかん薬(複数作用点)
Naチャネルを頻度依存的かつ電位依存的に抑制することによって神経膜を安定化させ、グルタミン酸等の興奮性神経伝達物質の遊離を抑制することにより抗痙攣作用を示す 。
焦点性・全般てんかんのいずれにも適応。抗うつ作用があり、忍容性高い。
SJS、TEN、DIHS等の重篤な皮膚症状に注意。バルプロ酸との併用に注意
有効性は中等度。
高齢発症のてんかんについては、ラモトリギンとガバペンチンのみが高い有効性。
焦点性てんかんに対してはカルバマゼピンより有効性は劣る。
定型欠神発作に対しては、エトスクシミド、バルプロ酸よりも有効性は劣る。
① てんかん部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作への単剤療法
② てんかん定型欠神発作への単独療法
③ 他の抗てんかん薬での効果不十分なてんかん発作に対する抗てんかん薬との併用療法。部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作、Lennox-Gastaut症候群の全般発作
④ 双極性障害の気分エピソードの再発・再燃抑制

エクセグラン:ゾニサミド
広域スペクトラム抗てんかん薬(複数作用点)
他の抗痙攣薬と異なり、。ウレイド構造を含まないスルホンアミド系に分類される抗痙攣薬 。
他の抗てんかん薬で発作が抑制されない部分てんかん及び全般てんかん治療薬として有用。
精神症状のある人への投薬は避ける。エトスクシミド、バルプロ酸と同様低電位活性型Caチャネル阻害。
抑うつ、精神症状に注意。
① 部分発作:単純部分発作〔焦点発作(ジャクソン型を含む)、自律神経発作、精神運動発作〕
複雑部分発作〔精神運動発作、焦点発作〕二次性全般化強直間代けいれん〔強直間代発作(大発作)〕
② 全般発作:強直間代発作〔強直間代発作(全般けいれん発作、大発作)〕強直発作〔全般けいれん発作〕非定型欠神発作〔異型小発作〕
③ 混合発作〔混合発作〕

デパケン・セレニカR:バルプロ酸Na
広域スペクトラム抗てんかん薬(複数作用点) 分枝脂肪酸系
GABA分解酵素活性阻害
特発性全般てんかんに対する第一選択薬。
体重増加、振戦、 胎児への影響、高アンモニア血症、表皮壊死
3歳以下でライ症候群、成人での急性脳症(頻度は低い)
ゴーストピルの排泄
① 各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作ならびに混合発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)
躁病および躁うつ病の躁状態の治療
② 片頭痛発作の発症抑制
適応外応用で、 群発頭痛、鎮痛補助など

併用禁忌:カルバペネム

イーケプラ:レベチラセタム
広域スペクトラム抗てんかん薬 (選択的シナプス小胞蛋白作用薬)
焦点性・全般てんかんのいずれに対しても適応あり。
薬効は強く、重篤なSEが少ない。急速飽和も可能。腎排泄で相互作用少ない。
攻撃性の増大などの精神症状を起こすことあり。
新規薬剤の中で、トピラマートに匹敵する強さで、ラモトリギンに次ぐ忍容性。
① てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)
② 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法

フィコンパ:ベランパネル水和物
抗グルタミン酸受容体薬
AMPA受容体拮抗薬 :従来と異なる機序で 難治性てんかんに対する新たな選択枝。
グルタミン酸の受容体のひとつAMPA型グルタミン酸受容体(AMPA受容体)は、非常に早い興奮性神経伝達を行う受容体で、てんかん発作の発生や伝播に中心的な役割を果たしている。
易刺激性・攻撃性
① 他の抗てんかん薬で効果不十分なてんかんの発作に対する抗てんかん薬との併用療法
 ・部分発作(二次性全般化発作を含む)
 ・強直間代発作

マイスタン:クロバザム
BZ系・GABAA受容体活性化薬
急性閉塞隅角緑内障、重症筋無力症
焦点性・全般てんかんに対する併用療法。
重篤なSEは少ない。
劇的に有効なケースもある。
① 他の抗てんかん薬で効果不十分なてんかんの発作型に対する抗てんかん薬との併用
 ・部分発作(単純部分発作、複雑部分発作、二次性全般化強直間代発作)
 ・ 全般発作(強直間代発作、強直発作、非定型欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作 )