脳卒中治療 TIPS

1. 脳保護療法:虚血脳組織で発生するフリーラジカルを消去し、病態改善、神経細胞保護。フリーラジカルスカベンジャー。エダラボン(ラジカット)
2. 血栓溶解療法:閉塞血管を再開させる。致死的な出血性梗塞を来すリスクもある。4.5時間以内の組織プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)静注療法は高いエビデンス。アルテプラーゼのみ使用可。
3. 抗凝固療法:心原生脳塞栓症の再発防止には抗凝固療法が必要。急性期ヘパリン静注。漸次ワルファリン。
非弁膜症性心房細動の適応だが、直ちに抗凝固作用を期待できる、タビガトラン(プラザキサ)、リバーロキサバン(イグサレルト)、アピキサバン(エリキュース)、エドキサバン(リクシアナ)の使用も考慮される。
弁膜症性心房細動の定義は、リウマチ性の僧帽弁狭窄症あるいは人工弁置換術を行った心房細動でそれ以外はすべて非弁膜症性。大動脈弁疾患、あるいは僧帽弁閉鎖不全であれば非弁膜症性でかなり広範囲。
4. 抗血小板療法:オザクレルナトリウムは発症5日以内の血栓性脳梗塞に使用。脳塞栓症には禁忌。あるいは48時間以内の高用量アスピリン(160-300㎎)を投与する。
非心原性脳塞栓の長期の再発予防は、アスピリン、クロピドグレル(プラビックス)、シロスタゾール(プレタール)のいずれか。=>エフィエントはまだ適応ない様子。
脳塞栓 : 不整脈、心臓弁膜症、心筋梗塞などにより、局所に血栓ができ、それが脳まで達して塞ぐ。
脳血栓 : 動脈硬化が進行して血液が停滞するため固まりやすくなり、出来た血栓が脳内の動脈を塞ぐ。

5. 血液希釈療法:血液粘度を低下させ、微小循環を改善させることにより、脳血流増加を図る。
血漿代用薬の低分子デキストランの点滴静注。
6. 抗脳浮腫療法:血清浸透圧を上昇させることにより浮腫液を血管内に引き込む。グリセオール。マンニット。
脳卒中の脳浮腫治療にはステロイド無効
7. 脳循環代謝改善薬
イブジブラスト:ケタス
プロスタサイクリンの血管弛緩作用を増強し、脳血流量を増加させ、脳梗塞後遺症に伴うめまいの改善に適応。
ニセルゴリン:サアミオン
脳血流増加作用、血小板凝集抑制作用、赤血球変形能亢進作用を有し、脳梗塞後遺症に伴う意欲低下の改善に適応がある。
イフェンプロジル:セロクラール
血管平滑筋弛緩作用、交感神経α受容体抑制作用による血流増加作用を有し、脳梗塞・脳出血慢性期のめまいの改善に適応がある。
チアプリド:グラマリール
ドパミン受容体に結合して、神経系を抑制し、脳梗塞後遺症に伴う攻撃的行為精神興奮、徘徊、せん妄の改善に適応がある。