めまい治療薬 TIPS

種類
① “ぐるぐる” 回ると表現される回転性めまい(vertigo)
② “ふらふら” しためまい(dizziness)
③ “ くらっ” とする立ちくらみ、眼前暗黒感(syncope)
 ③の立ちくらみ、眼前暗黒感は、脳幹網様体および後大脳動脈の血流低下による 。
Adams-Stokes症候群や心筋梗塞など心原性の要因、また、Shy-Drager症候群のような神経変性疾患の鑑別も必要 。
高齢者では、降圧薬を内服しているときにも生じや い。
起立性低血圧はSchellongテストにより診断できる 。
回転性、動揺性のめまいの違いから中枢性、末梢(内耳)性区別をつけることはできない
中枢性、末梢(内耳)性めまいの鑑別には、めまいの ①発症の契機 ②めまいの性状、持続時間 ③随伴症状 が問診として重要。
内耳性めまいが最も頻度が高い。
末梢(内耳)性めまい:メニエール病、前庭神経炎、良性発作性頭位めまい症、めまいを伴う突発性難聴、炎症性(中耳炎内耳波及、ウイルス感染など)、外傷性、内耳循環障害、小脳橋角部腫瘍

急性期は悪心・嘔吐等の不快な症状が生じることが多く、心身安静や対症療法が主体。
亜急性期・慢性期の主な目的は再発予防。症状が改善したら減量。
内耳性めまいの基礎病態と考えられる内耳や脳幹の循環不全の是正目的で、循環改善薬が用いられる。

ジフェンヒドラミン・ジプロフィリン:トラベルミン
ジメンヒドリナート:ドラマミン
ヒスタミンH1受容体拮抗薬として延髄にある嘔吐中枢に作用して悪心・嘔吐を抑制。
てんかん、甲状腺機能亢進症、急性腎炎には慎重投与。
眠気が問題になれば、メリスロンかセファドール。

ベタヒスチン:メリスロン
弱いH1作動薬として血管拡張による内耳循環改善によりめまいを抑制する。
H3抑制で前庭神経核の活動性を亢進させることでその左右差を減少させてめまいを抑制する。
消化性潰瘍の既往歴及び活動性の消化性潰瘍、気管支喘息、褐色細胞腫の患者は慎重投与。

ジフェニドール:セファドール
椎骨動脈の循環改善作用。延髄の嘔吐中枢を抑制して悪心・嘔吐を抑制する。
緑内障、前立腺肥大等の尿路閉塞性疾患のある患者は慎重投与。

dl-イソプラナリン:イソメニール
脳血管拡張作用と心拍出量増加作用により脳循環改善作用を示す。
特に患側の椎骨動脈血流量を選択的に増加させ、左右差を改善。
内耳血流改善作用とNa、Kポンプの亢進作用により、内耳液の産生・吸収機構を正常化する。
重度の冠動脈疾患、頭頸部外傷直後
甲状腺機能亢進症、 糖尿病、高血圧症、心疾患のある患者は慎重投与。

イソソルビド:イソバイド、メニレット
血漿浸透圧を高めることによって内リンパ水腫を軽減する。
急性頭蓋内血腫のある患者
脱水、尿閉又は腎機能障害、うっ血性心不全の患者には慎重投与。
メニエルでは推奨される。