急性期:軽度の発作にはアセトアミノフェンやNSAIDs、中等度以上では5HT1B/1D受容体作動薬のトリプタンを用いる。
長期に頻回の薬剤使用により、薬物乱用頭痛(MOH:Medication-Overuse Headache)のリスク。週3日以上の頻度で使うとMOHが重畳して症状が悪化する。
トリプタン:三叉神経終末に存在する5HT1D受容体刺激による神経ペプチドの放出抑制。
●セロトニン5HT1D受容体作用(刺激):三叉神経終末
●セロトニン5HT1B受容体作用(刺激):血管内皮細胞
三叉神経が刺激されると、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)などの血管作動性物質が分泌される。 CGRPは血管の拡張作用を有しており、周囲の神経が圧迫されて痛みを生ずる。炎症反応を増強させたり、痛みを増強させる作用もある。
血管内皮細胞に存在する5HT1B受容体を刺激すると、血管収縮が起きる。
発作予防には中枢性Ca拮抗薬や抗てんかん薬。(イオンチャネルやグルタミン酸受容体に対する拮抗作用。)プロプラノロール。
片頭痛患者は下行性疼痛抑制系の機能低下あり、三環系抗うつ薬、SSRI、SNRIが用いられる。
トリプタン系は薬効に差異はないが、患者によって個人差がある。
また、TMax、T1/2に違いがあり、急速に最高強度の頭痛になるタイプは TMax の短いもの、発作時間が長く、再発しやすいタイプは T1/2 の長いものを使う。
ナラトリプタン(アマージ)はマイルドで半減期も長いので、月経関連片頭痛の短期予防療法に用いられることが多い。
スマトリプタン(イミグラン)は点鼻、注射(自己注も)の剤形があり、嘔吐がある場合に有用。
口腔内崩壊錠は水なしで服用できる。ゾーミックRM、マクサルトRPD
一般名 (商品名) | 剤形 | TMax | T1/2 | 間隔 | 禁 |
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スマトリプタン (イミグラン) | 注射 点鼻 錠剤 | 0.21 1.30 1.8 | 1.46 1.87 2.4 | 2時間以上あける | MAO-I |
ゾルミトリプタン (ゾーミック) | 錠剤 RM | 3.00 2.98 | 2.4 2.9 | 2時間以上あける | MAO-I |
エレトリプタン (レルパックス) | 錠剤 | 1.0 | 3.2 | 2時間以上あける | プロテアーゼ-I |
リザトリプタン (マクサルト) | 錠剤 RPD | 0.8 1.0 | 1.6 1.7 | 2時間以上あける | MAO-I プロプラノロール |
ナラトリプタン (アマージ) | 錠剤 | 2.68 | 5.05 | 4時間以上あける |
注意:
ロメリジン:めまい、眠気。
バルプロ酸:催奇形性、体重増加、振戦
アミトリプチリン:眠気、抗コリンによる口渇、便秘。
ロメリジン:ミグシス
Caチャネル遮断薬
片頭痛予防薬。(保険承認は他にバルプロ酸、プロプラノロール)
ねむけ、めまいに注意。
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン:クリアミン
血管収縮作用薬(α作動薬)麦角アルカロイド
HIVプロテアーゼ-I 、トリプタン、他の麦角アルカロイド、エファビレンツ、コビシスタット、マクロライド系抗生物質、アゾール系抗真菌薬、テラプレビル
ジメトチアジン:ミグリステン
抗セロトニン薬
片頭痛発現仮説:片頭痛患者では血小板の異常があり,血小板がセロトニンを異常放出して頭蓋血管が収縮し,前駆症状があらわれる。次いでセロトニンが代謝されて血中セロトニンは減少し,血管が反跳性に拡張し片頭痛発作が起こる。一方,一過性に増加したセロトニンは血管の透過性を高めプラズマキニンやプロスタグランジン E2,I2 を産生し,この両者は互いにその作用を増強し,血管及び血管周囲炎,血管拡張,発痛発作を引き起こす。
カフェイン、アンナカ
血管収縮作用薬:PDE阻害薬→キサンチン誘導体