トリカルボン酸

復習
カルボキシル基が3つあるカルボン酸化合物。

クエン酸:C6H8O7
 脱水
cis-アコニット酸 :C6H6O6
 水和
イソクエン酸:C6H8O7
 酸化
オキサロコハク酸:C6H6O7 (NAD+ →NADH + H+ )
 脱炭酸
α-ケトグルタル酸:C5H6O5 (CO2)
 酸化・脱炭酸
スクシニルCoA:(NAD+ →NADH + H+ ) (CO2)
 リン酸化
コハク酸:C4H6O4 (GDP+P → CoA-SH+GTP)
 酸化
フマル酸:C4H4O4 (ユビキノン (Q) → ユビキノール (QH2))
 水和
L-リンゴ酸:C4H6O5
 酸化
オキサロ酢酸:C4H4O5(NAD+ →NADH + H+ ) 

ピルビン酸:C3H4O3

乳酸:C3H6O3 

ピルビン酸
乳酸

トリカルボン酸回路の目的
(1) アセチル-CoAのアセチル基を酸化し,2分子のCO2に変換する
(2) 水素を還元型の補酵素の形(3 NADH2+とFADH2)で捕捉する
(3) アミノ酸代謝、尿素回路、糖新生など多くの他の経路の仲立ちをする〔代謝の交差点〕

ピルビン酸は好気的条件下では、ピルビン酸脱水素酵素〔pyruvate dehydrogenase〕(PDH)の作用でアセチルCoAになり、TCA回路に入る。
(ピルビン酸 + NAD+ + CoA → アセチルCoA + NADH + CO2
ピルビン酸は嫌気的条件下では、乳酸脱水素酵素の作用で乳酸に還元される。
ビタミンB1はPDHの補酵素になっていて、ピルビン酸をアセチルCoAに変えるために必要で、糖代謝必須ビタミンとよばれる。
TCA回路が効率よく回るためには、オキサロ酢酸の補充が必要である。
脂肪酸からアセチルCoAが供給されるので、糖質を制限したほうが脂質をより多く消費できると誤解しやすいが、TCA回路の反応を効率よく進め脂質代謝を促進するためには、オキサロ酢酸を補充するための糖質の摂取が必要。
オキサロ酢酸の原料であるピルビン酸が不足すると、TCA回路の進行が低下してアセチルCoAの酸化が十分行われずケトン血症になる。