抗血小板療法薬 TIPS

注意事項
・MIなどの血栓イベント予防効果と相応した出血イベント増加効果がある。
・喘息症例、消化管潰瘍症例では、アスピリンにより増悪のリスクがある。
・クロピドグレル、チクロピジンでは白血球減少、血栓性血小板減少性紫斑病、肝障害のリスク。
・シロスタゾールは頭痛、頻脈が起こる。

抗凝固薬との違い:動脈系の血栓予防に抗血小板薬、血流うっ滞部位の血栓予防に抗凝固薬。例外はある。
GL:心筋梗塞、脳梗塞等の動脈硬化・血栓性疾患の既往のある症例の二次予防にアスピリン。アスピリン使用できない場合クロピドグレル。脳梗塞再発予防でシロスタゾールも推奨されれている。
ステント留置後はアスピリンとP2Y12阻害薬の併用療法を数か月。

アスピリン:バイアスピリン
COX阻害薬
抗血小板療法の基本。急性心筋梗塞に対する1st。即効性を求めて噛み砕くこともある。
心筋梗塞後の再発予防でも1st。
サリチル酸系薬過敏症歴、消化性潰瘍、出血傾向、アスピリン喘息または既往歴
休薬:低危険手技:3日、高危険手技:7日、手術:7-14日
① 血栓・塞栓形成の抑制 : 狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞) 、冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後
② 川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)

クロピドグレル:プラビックス
ADP受容体(P2Y12)拮抗薬
肝で代謝された後に有効性発揮。肝障害のリスクもあり、肝障害症例には注意が必要。
冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患における心血管イベント予防の1st。ステント後の血栓予防。
出血
休薬: 高危険手技:5-7日、手術:7-14日 以上
① 虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制
② 経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)、安定狭心症、陳旧性心筋梗塞
③ 末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制

エフィエント:プラスグレル
ADP受容体(P2Y12)拮抗薬
冠動脈ステント後の血栓性閉塞予防。冠動脈インターベンション後のステント血栓予防に用いられる。
出血
休薬: 高危険手技:5-7日、手術:14日 以上
① 経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)、 安定狭心症、陳旧性心筋梗塞

チエノピリジン誘導体。 ADP受容体(P2Y12)拮抗薬
血小板の活性化には細胞内Ca2+濃度の上昇を伴う。
ADPは強力な血小板活性化因子の1つ。ADPが抑制性G蛋白質のP2Y12受容体に結合すると、cAMP濃度が低下し、反対に細胞内Ca2+濃度は上昇。
ADP受容体拮抗薬はP2Y12受容体とADPとの結合を妨げ、Ca2+濃度が上昇せず血小板活性化は抑えられる。

ブリリンタ:チカグレロル
直接的P2Y12拮抗薬
出血 、血友病、頭蓋内出血の既往、中等度又は重度の肝障害
休薬:手術:5日 以上
急性冠症候群にてクロピドグレル等で効果が不十分な症例で考慮する。
【錠90mg】 経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)(ただし、アスピリンを含む抗血小板剤2剤併用療法が適切である場合で、かつ、アスピリンと併用する他の抗血小板剤の投与が困難な場合に限る)
【錠60mg】 リスク因子を1つ以上有する陳旧性心筋梗塞のうち、アテローム血栓症の発現リスクが特に高い場合 ( 65歳以上、薬物療法を必要とする糖尿病、2回以上の心筋梗塞の既往、血管造影で確認された多枝病変を有する冠動脈疾患、又は末期でない慢性の腎機能障害 )

シロスタゾールプレタール
PDE3阻害薬
頻脈があるので心不全では注意が必要。脳梗塞後再発予防に用いられる。非心原生脳卒中再発予防における1st。
出血、うっ血性心不全
休薬: 高危険手技:1日、大手術:3日 以上
① 脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)発症後の再発抑制、 慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善

ジピリダモール:ペルサンチン
PDE5阻害薬
① 狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患、うっ血性心不全。(錠12.5mg~25mg )
② ワーファリンとの併用による心臓弁置換術後の血栓・塞栓の抑制。(錠25mg~100mg、Lカプセル)
③ ステロイドに抵抗性を示すネフローゼ症候群における尿蛋白減少 。(錠25mg~100mg)
④ 慢性糸球体腎炎(ステロイドに抵抗性を示すネフローゼ症候群を含む)における尿蛋白減少 。(Lカプセル)

ベラプロスト:ドルナー、プロサイリン
PGI2誘導体
PGI2は、発痛増強物質であるが、血小板凝集を抑制したりTXA2とは相反する作用を示し、この両者の生成のバランスが保たれている。プロスタサイクリンの受容体(IP受容体)を刺激することで、血管拡張作用、抗血小板作用および血管平滑筋細胞増殖抑制作用を発揮する 。
出血
① 慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善
② 原発性肺高血圧症

サルボグレラート:アンプラーグ
5HT2受容体拮抗薬
血小板には5-HT2受容体(セロトニン2受容体)が存在しており、この受容体の活性化がシグナルとなって血小板が固まるようになる。血小板に存在する5-HT2受容体を阻害すれば、血栓の生成を抑制できる。
出血
① 慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛および冷感等の虚血性諸症状の改善。