ハピネス薬局

高齢者の安全な薬物療法

ポリファーマシーの改善も含めて

沢井製薬㈱広島支店営業学術担当 岡田 民生

ポリファーマシー(5剤以上:OTC含む)により、死亡率4割、有害事象は3倍に増える。
薬剤費の増大、QOLの問題(手間)、有害事象の増加(相互作用、調剤ミス、飲み忘れ、飲み間違い)、処方過誤。
高齢者は臓器予備能が低下しているため過量になりやすく、疾患も多いので多剤になりやすく危険。
また認知も低下、視力の問題などでの間違いも多い。
誤った情報、誤解から投薬中断などの過少医療も問題。過少医療の解除もポリファーマシー対策に含まれる。
インフルエンザ、パーキンソン、前立腺など。SEとの区別も問題。
抗ヒ剤で物忘れが認められた→ドネペジル(尿失禁のイベントが発生しやすい)→ソリフェナシン(認知機能低下)の悪循環。


内科において長期投与の使用頻度が高い慎重投与を要する薬剤
対象 SE・理由 推奨使用方
BZ系睡眠薬、抗不安薬 過鎮静、認知機能低下、せん妄、転倒、骨折、運動機能低下 長時間作用型は使用するべきではない。
トリアゾラムは健忘のリスクあり使用すべきでない。
最低必要量を短期間使用に限る。
ムスカリン受容体拮抗薬
過活動膀胱治療薬
口内乾燥、便秘、排尿症状の悪化、尿閉 低用量から使用。
前立腺肥大の場合はα1遮断薬との併用。
必要時、緩下剤を併用する。
H1受容体拮抗薬
第一世代
認知機能低下、せん妄、口腔乾燥、便秘 可能な限り使用を控える。
H2受容体拮抗薬 認知機能低下、せん妄 可能な限り使用を控える。
入院患者や腎機能低下患者では必要最小限に。
NSAIDS 腎機能低下、上部消化管出血のリスク 1.使用を短期間にとどめる
2.中止困難例ではPPI、ミソプロストールの併用を考慮
3.中止困難例では選択的COX-2阻害薬の使用を検討
 その場合もできる限り低用量、PPIの併用を考慮
抗コリン
抗精神病薬全般 錐体外路症状、過鎮静、認知機能低下、口内乾燥、便秘、脳血管障害、非定型は血糖値上昇 定型の使用はできるだけ控える。
非定型は必要最小限
ブチロフェノン系はパーキンンソン禁忌
非定型は血糖値に注意
三環系抗うつ薬 認知機能低下、せん妄、便秘、口腔乾燥、起立性低血圧、排尿症状悪化、尿閉 可能な限り使用を控える。
パーキンソン治療薬
抗コリン薬
認知機能低下、せん妄、過鎮静、口腔乾燥、便秘、排尿症状悪化、尿閉 可能な限り使用を控える。代替薬:L-DOPA
中止を検討するフローチャートが示された。

アドヒアランスの改善
服薬数を減らす 降圧薬、胃薬など同効薬を力価の強い1剤、あるいは合剤に変更
服用の簡便化 1日3、2回から1回への切り替え。食前、食直後、食後などの混在を避ける。
介護者の出勤前、帰宅後への変更など
剤型の工夫 OD錠、貼付剤の選択
一包化 長期保存に向かない。途中での用量調節が困難。
服薬カレンダー 薬局で提示
ハピネス薬局082-299-3089広島市南区翠5-17-15
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