ハピネス薬局

胆汁酸(Bile Acid)

胆汁酸の役割〜消化器病診療を中心に〜

広島大学学術院 臨床医学内科系 総合診療医学教授 田妻 進

胆汁酸は両新媒性。石鹸のようにミセルを形成して腸に洗い落とすようにして吸収させる。
一次胆汁酸:コール酸(CYP7A1による主流)、ケノデオキシコール酸(体調が悪いと増えたり)
二次胆汁酸:デオキシコール酸、、リトコール酸(発癌性?)
(腸内細菌の胆汁酸-7α-デヒドロキシラーゼにより7-α-デヒドロキシ化された二次胆汁酸)
(ウルソ:UDCAは熊のデオキシコール酸)
石鹸のように胆石を溶かすことができる。
フィブラート製剤は胆汁鬱滞に有効。

腸肝循環(約4回/日):胆汁酸の90%は回腸末端で能動輸送され再吸収され再利用される。
能動輸送:P糖蛋白。ABCトランスポーター。MDR1,MDR3,BSEP(胆汁酸トランスポーター)
回腸末端で胆汁酸を再吸収するのはIBAT(ASBT)で、これを阻害すると大腸に流入する胆汁酸が増える。
腸肝循環が行えないので、胆汁酸を生成するようになり、LDLが下がることが期待される。
胆汁酸は大腸内で水分吸収、大腸運動促進作用がある。→便秘の解消。
小腸手術により、短腸症候群でひどい下痢がある場合、胆汁酸の吸収ができないことによる。
その場合は、胆汁酸のキレートを用いる。…コレバイン
グーフィス(エロピキシバット)はIBAT阻害による下剤。

コレステロールの1stはスタチンという決めつけはよくない。
吸収と生成のバランスを見るのが大事。
フィブラートとスタチンの併用は疑義照会が必要。
難病でフィブラートで胆汁の鬱滞を改善しながら、胆嚢の炎症を抑えるために、スタチンを使う場合があるがきわめてまれ。

ハピネス薬局082-299-3089広島市南区翠5-17-15
漢方について HOME 薬の備忘録