ステージ
G1~G2
尿蛋白の持続や腎組織の障害はあるが、正常組織による代償機能が働くため、GFRは正常もしくは軽度低下。
禁煙。
G3
腎機能中程度低下(30≦GFR<60ml/min/1.73㎡)。貧血、血圧上昇、二次性副甲状腺機能亢進症などの腎不全合併症が現れる。
減塩、蛋白制限。
G4
腎機能高度低下(15≦GFR<30ml/min/1.73㎡)で透析、移植の準備段階。
クレメジン投与。便秘に注意。
G5
GFR<15ml/min/1.73㎡未満。近い将来透析導入または腎移植が必要となる。
CVD、高血圧、高K、高P、腎性貧血、高尿酸血症など多岐にわたる合併症の管理。
G5D
血清Cr値が8mg/dl異常になると血液透析、腹膜透析など腎代替療法が必要となる。
血圧管理
CKDにおけるHTはCVDの強力な危険因子。CKDの進展を防止・遅延させ、CVDの発症を抑制し、死亡リスクを軽減する。
過度の降圧は腎血流量低下により腎機能を悪化させる可能性がある。65歳以上ではSBP110以下は避ける。また緩徐な降圧治療を行う。
CKDでは夜間高血圧が多い。夜間高血圧、早朝高血圧などの日内変動異常はCKDを悪化させる危険因子。就寝前の降圧薬服用は有効。
脂質管理
CKDのみでなく、CVD発症の危険因子。
脂質異常による腎障害が惹起される脂質腎毒性が提唱されている。
LDLコレステロールは120mg/dl(可能なら100mg/dl)未満にコントロールする。
スタチンは脂質改善のみならず、抗炎症、抗酸化作用により、蛋白尿や微量アルブミン尿を軽減する。
骨・ミネラル代謝
腎臓はミネラル代謝調節に大きな役割。CKD-MBD(骨ミネラル代謝異常:CKD-mineral and bone disorder)
高P血症、低Ca血症、ビタミンDの活性化障害、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌亢進し、骨代謝回転が高まる。
異所性石灰化、血管石灰化による動脈硬化などの異常によりCVD発症リスク増加。
特に問題は高P血症。ステージに関わらず、基準値内に保つ。
かゆみの酷い人は、血清Pの値が高い。
炭酸Caやセベラマー塩酸塩などのP吸着。高Ca、脱水に注意。
PTHの管理にはP、Caのコントロール。Pの吸収には活性型VDが関与しており、腎機能低下で活性型VDが低下すると血清Pが低下するため、PTHが分泌され骨からPを遊離させる。
沈降炭酸Ca
カルタン。
食直前、食直後。食後30分以上経過したときや食事を抜いたときは服用しない。胃酸により、Caイオンになり食物中のリン酸イオンと結合して不溶性塩を形成し、糞便中に排泄。食後しばらくたったり、制酸剤を併用していると胃内pHが上昇しリン吸着能が減弱する。
高Ca血症に注意。
セベラマー塩酸塩
フォスブロック、レナジェル。
食直前または食直後。Ca負荷なく、胃内pHの影響も受けにくい。リン吸着力は弱い。塩酸塩なので代謝性アシドーシスに注意。
腸管穿孔、腸閉塞の恐れ。高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐に注意。
炭酸ランタン水和物
ホスレノール。
吐き気や嘔吐が起きやすいので食直後。Ca負荷なく、胃内pHの影響も受けにくい。
リン吸着力は強い。
ビキサロマー
キックリン。
原則食直前。Ca負荷なく、胃内pHの影響も受けにくい。リン吸着力はセベラマーと同程度。
腸管穿孔、腸閉塞の恐れ。高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐に注意。
クエン酸第二鉄水和物
リオナ。
胃内pHの影響は受けにくい。消化器系SE少ない。Fe補充効果あり。
尿酸管理
高尿酸血症は痛風、尿酸結石、腎障害、動脈硬化、メタボの原因。
CKD治療に用いられる利尿剤は血清尿酸値を上昇させるため、高尿酸血症出現時は注意。NSAIDsの投与は腎機能低下のリスクがあるので避けてステロイドで関節炎を沈静化させる。
ベンズブロマロンの薬理作用は腎機能を利用しているのでステージ4以上では効果が現れにくく重度障害では無効。
高K血症管理
CKDにより酸の排泄障害で代謝性アシドーシスになり血清Kは上昇。服用しているACE阻害、ARB、利尿剤でも上昇。
知覚異常、四肢の重い感じ、脱力、脈の乱れ、動悸、7mEq/l以上では不整脈、心停止の恐れ。
酸は尿中にH+と呼吸中にCO2に排泄されるが、尿中に排泄できないとバランスを取るため、Hイオンを細胞内に取り込みKイオンを細胞外に放出し、高K血症に。
貧血管理
赤血球産生に必要なエリスロポエチンは腎臓で作られる。腎性貧血はステージ3から。
鉄剤も有効。