ハピネス薬局

調剤と情報 2016/08 Vol22-10

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フスコデ:ジヒドロコデイン リン酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩。
いずれも排尿障害を引き起こす可能性あり。

ステージⅢ:大腸癌において粘膜下層深部まで進展し、大腸周囲のリンパ節に転移

レゴラフェニブ:スチバーガ(バイエル) 荷重がかかる部位(手、足)に部分的な皮膚障害がみられやすい。

GFR区分:30~40ml/分/1.73m2の場合中等度~高度の腎機能低下が疑われる。

前立腺肥大

前立腺上皮細胞と間質細胞の増殖からなる肥大結節が尿道周囲にみられ、下部尿路が閉塞され下部尿路症状が発現する。
(残尿感、頻尿、尿意切迫感、尿勢低下、尿閉など)

前立腺肥大症は、前立腺腫大、下部尿路閉塞、下部尿路症状の3つの要素から構成される。

前立腺腫大が必ずしも下部尿路症状と関連しない。

閉塞がなくても、膀胱収縮障害でも排尿症状が引き起こされる。

下部尿路閉塞:機械的閉塞、機能的閉塞(前立腺内の平滑筋が過剰に緊張・収縮)

膀胱の伸展・虚血・炎症・ストレスをもたらし、蓄尿症状を生じる。

尿道の知覚が亢進し、脊髄反射を通じて排尿筋の収縮が起きることでも蓄尿症状。

α1受容体拮抗薬は前立腺や膀胱頸部の平滑筋の収縮を抑制し、機能的閉塞を軽減。
尿道の知覚神経の過剰な興奮も抑制するので、蓄尿症状にも有効。

5α還元酵素阻害薬ははテストステロンを活性型のジヒドロテストステロン(DHT)に変換する酵素を阻害し、前立腺腫を縮小させる。
PSA値に影響があるので注意。

前立腺肥大禁忌の主な薬剤

鎮痙
チアトン、ブスコパン、コリオパン、ロートエキス…
過敏性腸症候
トランコロン…
抗コリン薬
硫酸アトロピン…
消化性潰瘍
コランチル配合顆粒、メサフィリン配合錠…
抗アレルギー
タベジール、アレルギン、ポララミン、レスタミン、ペリアクチン、ヒベルナ、ゼスラン(ニポラジン)…
セレスタミン、ピレチア(PL配合顆粒)…
パーキンソン
トリモール、ペントナ、パーキン…
鎮暈
トラベルミン…
筋弛緩
ロキシーン
気管支拡張
エクリラジェヌエア、アトロベントエアゾル、ウルティプロ、アノーロエリプタ、エンクラッセエリプタ、テルシガンエアゾル、シーブリ、スピリーバ、スピオルト…
鎮咳
フスコデ配合錠、アストフィリン配合錠、カフコデN…
低血圧
リズミック(α1受容体刺激)…

蓄尿障害を起こす薬剤

抗不安薬
外尿道括約筋弛緩
中枢性筋弛緩
外尿道括約筋弛緩
抗癌剤
膀胱直接刺激
AD治療薬
AChエステラーゼ阻害
抗アレルギー
アレルギー性膀胱炎(リザベン、セルテクトなど)
交感遮断
α1受容体遮断
勃起障害
尿道平滑筋弛緩
狭心症
尿道平滑筋弛緩
コリン作動
M3受容体刺激による排尿筋の収縮

大腸癌

徴候:肛門に近い部位では便も硬くなるため、便秘、性状の変化、血便、細い便、腹痛、腹満など。
肛門から遠い、右側結腸では、便が液状であり、閉塞などの症状(腹痛、腹満)が出にくい。

ステージ:大腸粘膜で発生。
大腸壁を深く進展(深達度によりステージⅠもしくはⅡ)。
粘膜下層の深部まで進展すると大腸周囲のリンパ節に転移
(ステージⅢ、転移の程度でⅢaもしくはⅢb)の可能性。
この段階で大腸以外の臓器(肝臓、肺など)への遠隔転移も起こりうる。(ステージⅣ)
大腸壁を貫いた癌では癌性腹膜炎も起こり得る。

薬物療法:①再発予防を目的とした術後補助化学療法(アジュバンド療法)
②切除不能進行再発大腸癌に対する生存期間延長と症状緩和。
薬物療法が著効して切除可能(conversion)となる場合もある。

アジュバンド:ステージⅢの大腸癌に対する術後補助化学療法。
① 5-FU+LV(ロイコボリン)
② UFT+LV
③ Cap(カペシタビン)
④ FOLFOX(5-FU+LV+L-OHP(オキサリプラチン))
⑤ CapeOX(Cap+L-OHP)
の5つ。術後2か月以内に開始し、6か月間継続。

切除不能進行再発に対する化学療法
一次から四次治療まで多数。
抗EGFR抗体のセツキシマブ(Cmab)、パニツマブ(Pmab)はKRAS/NRAS遺伝子に変異がないことを確認する。
salvage lineはレゴラフェニブ、トリフルリジン/チピラシルが適応となっている。

治療薬の概要

5-フルオロウラシル
5-FUなど。
ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)は5-FUの解毒反応の第一段階を触媒する酵素。
DPD阻害により5-FU濃度が高く維持される。5-FUのプロドラッグ(テガフール)にDPD阻害物質を配合したものがUFTやS-1
副作用:骨髄抑制、口内炎、下痢、手足症候群、神経系障害、心筋虚血、眼瞼炎、鼻涙管狭窄、結膜炎、皮膚乾燥、色素沈着
カベシタビン
ゼローダ。
静注の5-FU+LVと同等の効果を示す。
5-FUのプロドラッグ。
肝臓でカルボキシルエステラーゼにより5'-deoxy-5-fluorocytidine (5'-DFCR) に代謝
肝臓や腫瘍組織に存在するシチジンデアミナーゼにより5'-deoxy-5-fluorouridine (5'-DFUR) :フルツロンに変換。
腫瘍組織に高レベルで存在するチミジンホスホリラーゼ (TP) により活性体である5-FUに変換。
副作用:手足症候群、下痢、悪心・嘔吐、神経障害、心虚血、結膜炎
オキサリプラチン(OX)
エルプラット。
5-FU+LVあるいはCapとの併用により、術後および切除不能いずれにおいても再発・死亡リスク、DFS/OSの改善を認めた。
DFS/OS:Disease Free Survival(3年無増悪生存期間)/Overall Survival(5年)
副作用:感覚性末梢神経障害、悪心・嘔吐、下痢、骨髄抑制、アレルギー、肝毒性
神経障害は要注意。休薬・減量を検討。(予後に影響なし)
イリノテカン
(IRI)
カンプト、トポテシン。
切除不能ではFOLFIRI(5-FU+LV+イリノテカン)+分子標的薬でDFS/OSの改善を認めたがアジュバンドでは有効性は認めらない。
副作用:骨髄抑制、下痢、脱毛、肝機能障害
ベバシズマブ
(Bmab)
アバスチン。
切除不能で細胞毒性のある薬剤との併用でDFS/OSの延長改善を認めた。初回に使用し増悪したセカンドラインに継続使用しても良い。
アジュバンドでは有効性は認めらない。
血中の血管内皮増殖因子(VEGF)と特異的に結合し、VEGFの活性を阻止し、血管新生を抑制し、腫瘍増殖を抑え、腫瘍の血管を正常化させることで抗悪性腫瘍薬の透過性を改善する。
副作用:出血、高血圧、蛋白尿、血栓塞栓症、消化管穿孔、創傷治癒遅延、可逆性後白質脳症症候群
セツキシマブ
(Cmab)

パニツマブ
(Pmab)
アービタックス/ベクティビックス。
KRAS/NRAS野生型切除不能で細胞毒性のある薬剤との併用あるいは単剤ででDFS/OSの延長改善を認めた。
アジュバンドでは有効性は認めらない。
経口フッ化ピリミジンとの併用では有害事象が強く、有効性低減。
CmabとPmabで臨床効果は同等。Cmab(キシマブ)はヒト・マウスキメラ型IgG1のモノクロ-ナル抗体で抗ヒスタミン薬やステロイドの前投薬必要。
Pmab(ムマブ)は完全ヒト型IgG2モノクロ-ナル抗体で前投薬は不要。
副作用:投与後の有害反応、皮膚症状(ざ瘡様皮疹(にきびのような発疹や吹き出もの)、皮膚乾燥、皮膚の亀裂、爪周囲の炎症)、間質性肺疾患、低Mg血症
レゴラフェニブ
スチバーガ。
フッ化ピリミジン、OX、IRI、Bmab、Cmab/Pmab施工後の切除不能大腸癌にPFS/OSの延長を認める。
PFS(Progression Free Survival)(無増悪生存期間):治療により生存期間を延長することが最も重要だが、それが見込めない場合、長期間にわたり病状が安定し生活の質を保つことできることも重要。進行がんに対する治療効果を見る指標。
腫瘍の増殖・生存・血管新生に関与するVEGFR1-3、c-Kit、TIE-2、PDGFR-β、FGFR-1、RET、RAF-1、B-RAFなどを阻害。(マルチキナーゼ阻害薬)
副作用:手足症候群、高血圧、出血、肝障害、消化管穿孔・瘻孔、血栓・塞栓、中枢神経障害
トリフルリジン/チピラシル塩酸塩
ロンサーフ。
フッ化ピリミジン、OX、IRI、Bmab、Cmab/Pmab施工後の切除不能大腸癌にPFS/OSの延長を認める。
トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を1:0.5のモル比で配合した新規経口ヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤。
①TPIを配合することでFTDの分解が阻害されて高い血中濃度が維持できる。
②FTDは、複製時にチミジンの代わりにDNA鎖に取り込まれる(推定)。
③DNAに取り込まれたFTDは、DNAの機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を示す
副作用:骨髄抑制、下痢、発熱性好中球減少症、悪心・嘔吐

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