低血糖防止の点からDPP-4阻害薬が最も使いやすい。メトホルミンも低血糖を起こしにくいが腎機能が低下した高齢者では使いにくい。
メトホルミンはeGFRが30以下は投与禁忌で45前後から投与量を減ずる。
重症腎機能障害:SU薬、メトホルミン、SGLT2阻害薬は除外。
腸閉塞既往:α-GI薬は除外。
心不全:チアゾリジン系(ビオグリダゾン:アクトス)は除外。
SU薬のうち、グリペングラミド(オイグルコン・ダオニール)は膵β細胞作用特異性が低く、心血管平滑筋にも影響があり且つ作用時間も長いので高齢者には使用すべきでない。
シックデイ:発熱下痢嘔吐などDM以外の体調不良により、普段通りの生活ができなくなることで血糖コントロールが難しくなった状態。
食欲低下により食事が摂れないだけでなく、侵襲により神経系、免疫系、内分泌系が相互に作用しストレス性高血糖が誘導される。
3大要因は、インスリン分泌低下、インスリン抵抗性の増大、糖新生とグリコーゲン分解の亢進。
ストレスによりアドレナリン、ノルアドレナリン、グルカゴン、コルチコイド、成長ホルモンが分泌され血糖値を上げる。
侵襲下では膵臓β細胞からのインスリン分泌は低下する。
炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-α)がインスリン受容体の感受性を低下させる。
食事摂取量が低下していても高血糖であることが多いが、インスリンやSU薬で低血糖が起こり得る。
対応
②
消化の良い食事を摂る。(炭水化物の補給。おかゆ、うどんなど)
③
インスリン注射は自己判断で中止しない。(SMBGで自己調整が望ましい)
④
経口血糖降下薬、GLP-1作動薬は種類や食事摂取量に応じて減量・中止。
内服薬管理の原則
SU・グリニド系
食事量が1/2程度であれば半量に、1/3以下なら中止
αグルコシダーゼI
消化器系に影響を及ぼすので中止
ビグアナイド
脱水時にアシドーシスを来す可能性ありシックデイは中止。
DPP-4I
食事が全く摂れない時や、下痢・嘔吐が続く場合は中止。
通常通り、食事が摂れていれば継続可能。
チアリジン
食事が全く摂れない場合は中止。
食事が摂れていれば継続可能。
SGLT2I
脱水を来しやすくケトン体の上昇も危惧される。
併用などで低血糖も起こしやすく中止。
GLP1
消化器症状があるときや食事量が1/2以下のときは中止。
血糖値が高値であればインスリンへの切り替えを考慮。