気管支喘息は気道の炎症性の慢性疾患。
中枢気道のみならず全気道の9割以上の末梢気道から肺胞にまで炎症は及ぶが、末梢気道では自覚症状に乏しい。
即時型アレルギー:気道の炎症により、気道のマスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンが放出され、血管平滑筋・気道平滑筋・気道粘膜の杯細胞への刺激によって気道粘膜腫脹、気道平滑筋の収縮、気道分泌亢進が起こる。
遅発型アレルギー:マスト細胞から炎症性サイトカインIL-5などが放出され好酸球が気道粘膜に遊走し、好酸球性の炎症が起こる。
リモデリング:炎症が繰り返し起こると、好酸球やTリンパ球の浸潤が持続し、気道壁の線維化が起こり、平滑筋や基底膜が肥厚して気道が狭窄する。
ICS:ステロイド受容体(GR)に結合しステロイド・GR複合体を形成し活性化。炎症に関するケミカルメディエーターやサイトカインの産生を調整する。
喘息治療におけるステロイド薬の作用。
①
炎症細胞の肺・気道内への浸潤抑制。炎症細胞自体の活性化抑制。
⑦
マスト細胞以外の細胞においてアラキドン酸の代謝を阻害し、ロイコトリエン、プロスタグランジンの産生抑制。
吸入ステロイド薬に期待される効果
⑥
治療度 長期の吸入ステロイド薬の維持量を減少する。
LABA:β2受容体に結合し、アデニル酸シクラーゼを活性化してcAMPを増加させることで、プロテインキナーゼ(PKA)が活性化し、気管支平滑筋が弛緩する。
喘息症状全般を改善し、運動誘発喘息の予防にも有効。
うがいはICS必須だが、LABAも全身移行を防ぐために行う。吸入では少ないがSEとして振戦、動悸、頻脈。
重大なSEとして血清Kの低下があり、Ischemic Heart Disease、DM、甲状腺機能亢進症には注意
配合剤:LABAの単独使用ではリスクの上昇も報告されているが、ICSと併用すると相乗効果がある。ICSはβ2受容体数を増加させ、受容体脱感作を抑制し、LABAはGRを活性化し、核内への移行を促進して抗炎症作用を増強する。
LTRA:(ロイコトリエン受容体拮抗薬)気道の収縮反応、過敏性の亢進などを抑制。ICSで完全にコントロールされない症例に併用薬として有用。
アレルギー性鼻炎合併症例、運動誘発喘息、アスピリン喘息の長期管理に有用。感冒罹患時の喘息症状悪化抑制への間欠投与も有用。
テオフィリン徐放製剤:cAMPのPDEを阻害して気管支拡張作用を示す。(PKA活性化)リンパ球、好酸球の気道への浸潤抑制、好酸球アポトーシス誘導などの抗炎症作用やステロイド感受性の回復なども報告されている。
ICSと併用で良い効果を示す、またLABAとは作用機序が違うので併用効果が期待できる。
LAMA:気道は主に副交感神経により平滑筋の緊張が保たれているので、抗コリン薬は気管支収縮抑制作用を示す。
喘息ではICSなどと併用。LABAとの併用で気管支拡張作用増強。
緑内障・前立腺肥大には禁忌
SABA:急性発作時には優れた薬剤。早めに吸入。一定の吸入回数を超えても症状が残存する場合はただちに受診。
依存に陥りやすいので、連用・過剰使用は避け、コントロールに努める。
うがい:口腔内に付着した薬剤が全身に移行するのを防ぐ。