ハピネス薬局

調剤と情報 2017/11 Vol22-14

1minTest

PT-INR:血液凝固能の指標。値が大きいほど凝固時間が延長。

CK(CPK):筋肉収縮のエネルギー源であるクレアチンリン酸の合成と分解を触媒する酵素。

クレアチニン:クレアチンがエネルギーを出した後の燃えカス。

CCrクレアチニンクリアランスは年齢、性別、体重、血清CrからCockcroft-Gaultの式より算出

HCV RNAウイルスは6種類の遺伝子型(ジェノタイプ)に分類され、日本ではⅠb型が約70%、Ⅰa型はほとんどみられない。

ウリエースkc:OTC検査薬のなかで、尿潜血の有無を確認できる。

CYP2C19:遺伝的素因によて効果に差が出ることがある。クロピドグレル、オメプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール、ランソプラゾール 、プロプラノロール、フルコナゾール、イミプラミン、クロミプラミン、アミトリブチリン、セルトラリン、フルボキサミン、エスシタロプラム、ミアンセリン、サルポグレラート、ジアゼパム、シルニジピン、シロスタゾールなど

フィコンパ錠:AMPA(α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メソオキサゾール-4-プロピオン酸)受容体に選択制を有する非競合的拮抗薬。
グルタミン酸受容体の一種で、人工アミノ酸であるAMPAを選択的に受容することから名づけられた。
中枢神経系に広く分布し、記憶や学習に大きく関与する。

フィコンパ錠(ペランパネル水和物)

グルタミン酸受容体機能を選択的に抑制する抗てんかん薬の開発は困難だった。(脳内移行性、半減期、他の中枢神経抑制作用)

グルタミン(興奮系神経伝達物質)の受容体の内、AMPAを選択的に非競合的に拮抗することで可能に。

他のメカニズムの薬剤では奏功しにくい発作に有効性を示す可能性。

他の抗てんかん薬との併用が必要だが、CYP3A4での代謝なので相互作用注意。

1日1回投与。就寝前に服用することで覚醒時の中枢抑制性作用を減少できる。

攻撃性や浮動性めまいなどの特徴的な副作用。

非競合なのでグルタミン酸濃度に関わらず、Naイオンの細胞内流入を抑制し神経の興奮を抑制する。

てんかん:過剰な興奮性神経活動、抑制性神経伝達の抑制による脳の過剰興奮によっておこる。


グルタミン酸神経系(興奮性抑制)

グルタミン酸遊離↓
レベチラセタム(イーケプラ)
Na+チャネル遮断
カルバマゼピン、ラモトリギン、フェニトイン、トピラマート、ゾニサミド
Ca2+チャネル遮断
エトスクシミド(ザロンチン)、ゾニサミド、バルプロ酸、トピラマート、ガバペンチン
AMPA/カイトニン酸受容体↓
トピラマート
AMPA受容体↓
ペランパネル


GABA神経系(抑制系賦活)

GABA分解↓
バルプロ酸
トランスポーター↑
ガバペンチン
GABAA受容体↑
トピラマート、フェノバルビタール、ベンゾジアゼピン系

臨床検査値

血算
細菌感染症など炎症性疾患や血液系悪性腫瘍で増加し、骨髄抑制状態で減少。
白血球は好中球(NEUT)、リンパ球(LYMP)、単球(MONO)、好酸球(EOS)、好塩基球(BASO)から構成。
好中球は細菌感染症で増加し、再生不良性貧血や急性白血病、ウイルス感染症で減少

WBC
白血球数 3.3~8.6×103個/μL
NEUT
好中球 40.0~70.0%

ヘモグロビンは肺から酸素を運搬する赤血球中の色素蛋白。貧血などのスクリーニング検査。
性差、年齢差があり、日内変動がある。(午前>午後)
妊娠後期では循環血漿量の増加により希釈されて低値。
喫煙時には一酸化炭素にヘモグロビンが結合してしまい代償的に増加。
Hb
ヘモグロビン
男性:13.7~16.8g/dL 女性:11.6~14.8g/dL

血小板は止血機構を担う血球成分。出血傾向の鑑別。
他の血液細胞に比較して寿命が約10日程度と短く骨髄の造血機能を比較的反映する。
30×103/μL以下で出血の危険性が高くなり、20×103/μL以下では脳内出血、消化管出血などの生命維持に影響をおよぼす出血性疾患のリスクが高い。
PLT
血小板数 158~348×103個/μL

副作用
血球減少と凝固異常に大別。
汎血球減少症
再生不良性貧血。
抗菌薬、解熱鎮痛剤、H2拮抗薬、抗がん剤、抗てんかん薬、抗甲状腺薬、抗リウマチ薬など多岐。
薬剤による汎血球減少は可逆的であることが多く、休薬後一定期間で回復。
無顆粒球症
顆粒球減少症、好中球減少症。
チアマゾールやチクロピジンでは死亡例も。
これらは定期的な血液検査が求められている。
抗菌薬、H2拮抗薬などでも報告されている。
薬剤性貧血
薬剤による赤血球系の障害。
骨髄に対する障害と末梢血中の赤血球に対する障害に大別。
骨髄は巨赤芽球性貧血など、末梢血はメトヘモグロビン血症、溶血性貧血。
いずれの薬剤も貧血のSEを生じる可能性がある。
血小板減少症
薬剤による血小板減少は主に骨髄での産生低下(再生不良性貧血)と破壊更新(特発性血小板減少性紫斑病など)。
血小板減少を起こす薬剤は多いが、いずれも投与中止後一定期間後に回復することがほとんど。

凝固能
PT-INRは値が大きいほど凝固時間が延長していることを示す。
ワルファリン投与時のコントロールの指標として利用される。
疾患や年齢により調節されるが、通常2.0~3.0  静脈血栓症(1.5~2.5)など。
NOAC/DOAC(non-Vitamin K oral anticoagulant/direct)へ切り替える際は治療域下限の2.0以下になっていることを確認する。

PT-INR
プロトロンビン時間・国際標準比
0.90~1.10

肝機能
AST、ALTはいずれも肝細胞の壊死・破壊に伴い上昇する逸脱酵素。
ASTは骨格筋、心筋、赤血球などにも含まれ、筋肉運動、心筋疾患、溶血性疾患でも上昇。
ALTは肝臓外への分布は少なく肝臓に特異的。
AST/ALT比からある程度推測可能。
AST<ALT:慢性肝炎、脂肪肝
AST>ALT:アルコール性肝障害、肝硬変、肝癌

AST
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
13~30U/L
ALT
アラニンアミノトランスフェラーゼ
男性:10~42U/L 女性:7~23U/L

ビリルビンの大半はヘモグロビン(ヘム+グロビン)の分解産物。
赤血球は脾臓で分解され、グロビンはアミノ酸に、ヘムは非抱合型ビリルビンへ。非水溶性のためアルブミンと結合して肝臓へ。非抱合型ビリルビンは間接ビリルビンと呼ばれる。
肝臓でグルクロン酸の抱合を受け水溶性となる。ほとんどが胆汁の一部となって小腸に分泌される。抱合型ビリルビンの一部は大腸に達し、腸内細菌の働きにより還元されてウロビリノーゲンに代謝される。ウロビリノーゲンはさらに還元されてステルコビリノーゲンになり、別の部位が酸化されて最終的にはステルコビリンになる。このステルコビリンは大便の茶色の元である。ウロビリノーゲンの一部は再吸収されて、分子中央のメチレン基が酸化されて黄色のウロビリンとなり尿から排泄される。
抱合型ビリルビンは直接ビリルビンで、間接ビリルビンとの和が総ビリルビン。
総ビリルビン1~2mg/dLを潜在的黄疸、2~10mg/dLを軽度黄疸、10~20mg/dLを中等度黄疸、20mg/dL以上を高度黄疸。
AST/ALTが正常である場合は、胆道系の障害(胆汁鬱滞、胆道閉塞)、血液疾患(赤血球破壊の増加)、グルグロン酸抱合酵素の遺伝的異常(家族性黄疸)など。
蛋白同化ステロイド、エストロゲン、経口避妊薬、リファンピシンなどはビリルビンの胆汁への排出を阻害し、値を上昇させる。
副腎皮質ホルモンやフェノバルビタールなどは低下させることがある。
T-Bil
総ビリルビン 0.4~1.5mg/dL

薬物性肝障害
「中毒性」と「特異体質性」に大別。中毒性はアセトアミノフェンのように薬物もしくは代謝産物に起因する肝毒性により、用量依存性。
薬物性肝障害の大部分が特異体質性で、用量非依存で予測できない。特異体質性にはアレルギー性と代謝性がある。
肝障害のタイプは「胆汁鬱滞型」と「肝細胞障害型」(混合もある)。
胆汁鬱滞型(混合も)は眼球の黄疸や瘙痒感が目立つが肝細胞障害型では特徴的な症状がない。
胆汁鬱滞型:AST/ALTの上昇は軽度で、ALP、γ-GTPが上昇、ビリルビンも早期より増加。
肝細胞障害型:AST/ALTの上昇が主体。高度の場合は、直接ビリルビンの上昇主体のT-Bil上昇。
ウコン、アガリクス、プロポリス、プロテイン、フコダインなどでも肝障害の報告あり。

腎機能
クレアチニンは筋収縮のエネルギーであるクレアチンから生成される最終代謝産物。
腎臓以外の影響を受けにくく尿細管での再吸収や分泌もほとんどなく、大部分が腎糸球体から濾過される。そのため、血清クレアチニンは糸球体濾過量に依存し、腎機能のおおよその指標となる。すなわち、腎機能が低下すると糸球体濾過量は低下し、血清クレアチニン値は上昇する。
血清クレアチニンは筋肉量に比例するため、男性の方が高くなる。
CCr(クレアチニンクリアランス)が腎機能の指標で腎排泄型薬剤を投与する場合の目安として添付文書に示されることが多い。
Cockcroft-Gault式で推測。
CCr=(140-年齢)×体重 / (72×SCr) (女性では×0.85)

SCr
血清クレアチニン
男性:0.65~1.07mg/dL 女性:0.46~0.79mg/dL

糸球体濾過量(GFR)は実際に測定するのが正確だが煩雑なので「日本人のGFR推算式」が2008年に日本腎臓学会から発表された。
血清クレアチニン、年齢、性別から計算される推算糸球体濾過量(eGFR)。標準体型(170cm、65Kg、体表面積1.73m2)と仮定したものなので適宜体表面積で補正する。
eGFR=194×SCr-1.094×年齢-0.287 (女性では×0.739)
 標準的な体格と大きく異なる場合 (×体表面積/1.73)
eGFR
推定糸球体濾過量 90~110mL/分/1.73m2

筋障害
CKは筋肉収縮のエネルギー源であるクレアチンリン酸の合成と分解を触媒する酵素でクレアチンフォスフォキナーゼ(CPK)ともいわれる。
骨格筋、心筋、平滑筋、脳などに多く、損傷を受けると血中に逸脱する。甲状腺機能低下症でも増加。(代謝がゆっくりになりムコ多糖の代謝が遅れて皮下、筋組織に蓄積しCKやLDHが逸脱) 激しい運動や打撲、筋肉注射でも上昇。
すべて二量体で臓器特異性がある。骨格筋:MM(95%)、脳:BB(1%)、心筋:MB(5%)
筋疾患、甲状腺機能低下症ではCK-MM↑、MIではCK-MMとCK-BBが↑。
薬剤で横紋筋融解症が引き起こされることがある。疑わしい薬ではCKの定期検査必要。
スタチン系、フィブラート、シスプラチン、マクロライド、コルヒチンなど。

CK
クレアチンキナーゼ
男性:60~270U/L、 女性:40~150U/L

炎症
CRPとは、C-リアクティブ・プロテインの略で、炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加する蛋白。肺炎血球のC多糖体に反応するため、C反応性蛋白と呼ばれる。
炎症や組織破壊が起こると血中で数時間以内に増加し、炎症の消失後は速やかに減少。上昇の仕方や高値を示す時間は障害の程度を反映。 感染症、膠原病などの炎症性疾患の活動性や治療効果、予後推定の指標となる。

CRP
C-reactive protein 0.00~0.14Umg/dL

電解質
カリウムは細胞内の浸透圧維持、細胞の活性維持などを担う。体内総カリウムの2%が細胞外に、98%が細胞内に存在。
血清カリウム濃度は血清と細胞内、体外のカリウムの移動で平衡状態にある。カリウムの異常は細胞内外カリウムへのカリウムのシフト異常や排泄障害、排泄亢進で起こる。
高カリウム血症
致死的な不整脈の原因となる。

排泄障害
腎不全、アルドステロン欠乏状態、K保持性利尿薬(スピロノラクトン、エプレレノン)、NSAIDs、ACE阻害、ARBでも見られるので腎機能低下患者では注意。
細胞外移行増
代謝性アシドーシス、インスリン欠乏、高浸透圧血症(高Na血症、高血糖)、細胞破壊I(抗癌剤、外傷)
ジキタリス、βブロッカーなどは細胞内へのカリウムの移行抑制により、K値が上昇することがある。
K負荷の過剰
大量輸血、輸液、カリウムの多い食品(果物、生野菜、ナッツ類)やサプリメント。
低カリウム血症
軽度の低K血症では症状が出ることは稀。3mEq/L未満では筋力低下が認められ、四肢麻痺や呼吸不全に至ることもある。
摂取不足
長期的な食事摂取不足。
喪失
腎からのK喪失は食塩大量摂取や利尿薬、消化管からの喪失は嘔吐・下痢。
細胞内移行増
アルカローシス、インスリン投与、カテコラミン投与。
K
3.6~4.8mmol/L

偽アルドステロン症
原発性アルドステロン症様の症状・所見(高血圧、低K血症、代謝性アルカローシス)を示すが、血漿アルドステロンは低下を示す。
四肢の脱力や血圧上昇に伴う頭重感など。甘草、グリチルリチン酸含有製剤のSEとして生じることが多く、薬剤中止後も数週間は症状と臨床検査異常値が残存。

血糖
グリコヘモグロビンはヘモグロビンにグルコースが非酵素的に結合したもの。過去1~2カ月の平均的な血糖レベルを反映する。
透析中の患者、ヘモグロビン低値の患者は低めにでるので注意。オランザピンやクエチアピンは著しい血糖値上昇を招く恐れがあるのでHbA1cを確認する必要がある。

HbA1c
グリコヘモグロビン 4.9~6.0%
診断基準
≧ 6.5%
目標
< 6.9%
DM疑い
6.0~6.4%
DMリスク
5.6~5.9%

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