増悪のポイント
①免疫異常、②かゆみ、③バリア機能異常(乾燥)
特に皮膚の乾燥。角層に存在するフィラグリン遺伝子の異常がAD(atopic dermatitis:アトピー性皮膚炎)に重要。
アレルギーマーチとは、一つのアレルギー疾患を契機に誘導されるアレルギー疾患群。
Th2免疫応答が関与すると考えられるが詳細不明。
ファーストステップとしてADが存在し、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、喘息などを誘導する。
フィラグリン遺伝子の異常がアレルギーマーチの誘因に重要。
エアロアレルゲンの経皮感作マウスでは全身のTh2免疫応答が誘導されアレルギー性鼻炎が誘導されやすくなる。
さらに、AD皮膚炎マウスは経気管支によるアレルギー反応が誘導されやすくなる。1
ヒトでは、重症AD患者の70%がその後、喘息およびアレルギー性鼻炎を併発。フィラグリン遺伝子変異をもつAD患者は、喘息に罹患する可能性が高い。また治療が難渋する。
食物アレルギーの発症リスクを高める。ピーナッツアレルギーのリスクにも関与。ピーナッツのアレルゲンは花粉などのエアロアレルゲンと交差性を認める。
しかし、2歳児の卵アレルギー、小児喘息には相関が認められない。フィラグリン遺伝子の異常に免疫の変調が加わることでアレルギーマーチが誘導されると考えられている。
角層(皮膚の最外層)では細胞は脱核し、死んだ角化細胞は落ち葉を敷き詰めたように重層化する。10層からなる角層hじゃ表面から順に垢として剥がれ落ちる。
フィラグリンは角層の主要な構成成分の一つ。その働きは強度や柔軟性、水分保持、皮膚のpH、生体内化合物へのバッファー作用など。繊維間凝集物質として働くのでフィラグリンがない状態では経皮水分喪失量(TEWL:transepidermal water loss)が上昇する。
外層部でフィラグリンはさらに分解し、アミノ酸、ウロカニン酸などの天然保湿因子(NMF)になる。NMFは角層における水分保持量を担保し、pHを維持し、バッファー効果を有する。表皮細胞の正常分化を促し、病原性細菌の集落形成を減少させる。
フィラグリンを増やすことも検討されており、注目されている。
プロアクティブ療法、リアクティブ療法。
症状が出たときに治療するリアクティブ治療と症状の出る前から予防的に治療するプロアクティブ治療。
よくなってからが大事で、保湿剤は毎日。ステロイド或いはタクロリムスは毎日からよくなった後、週に3回、週2回と減らし、週1回の塗布。