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輸液など覚書

輸液   リスト  アミノ酸

TPN

中心静脈栄養法:完全静脈栄養法、高カロリー輸液法。
高カロリー輸液は“intravenous hyperalimentation:IVH. 糖質、アミノ酸、電解質を含む栄養液を通常の消費エネルギーと同等あるいはそれ以上の熱量で経静脈的に投与する方法 alimentation:栄養,滋養
中心静脈栄養法は“central venous nutrition. 中心静脈にカテーテルを挿入し、高カロリー輸液を行うこと。
もはや外国ではIVHという用語は用いられておらず、中心静脈栄養法を意味する英語は、total parenteral nutrition:TPN parenteral:非経口
末梢静脈栄養法がperipheral parenteral nutrition:PPNと呼ばれるのに対して、中心静脈栄養法をcentral parenteral nutrition:CPNと呼ぶべきである、との意見もあるが、一般的ではない。TPNという呼称が正式な呼称。

注意点・副作用

高血糖
製剤中に高濃度のブドウ糖を含むため、過度の高血糖、口渇などがあらわれる可能性がある。
口渇、多飲、多尿、体重減少など。
代謝性アシドーシス
主な理由としてビタミンB1の不足がある。(通常、TPN施行時にはビタミンB1をはじめとするビタミン成分を併用するため頻度は稀だがおこる可能性がある)
糖質からのエネルギー産生に必須なビタミンB1が不足すると乳酸が増え乳酸アシドーシスがおこる場合がある。
吐き気、腹痛、下痢、筋肉痛、倦怠感、脱力感など。
ジギタリス製剤との相互作用について
本剤中のカルシウムによりジギタリス製剤の作用が増強される場合がある。
脈の乱れなど。
カテーテル穿刺・留置に伴う危険性や合併症。

製品

ハイカリック
糖・電解質液の製剤
1号、2号、3号・1号→2号→3号の順に糖濃度が高くなる。
ハイカリックRFは「Renal Failure(腎不全)」の略で、腎不全時などの電解質排泄障害を考慮して、KとPを含まず、Naなど他の電解質も少量を含む製剤になっている。
フルカリック
糖・電解質・アミノ酸・総合ビタミン液の製剤
大室、中室、小室の3室に成分を分け、使用直前に隔壁部を開通させ3液を混合させる製剤。
・大室:糖質(ブドウ糖)、電解質、ビタミン
・中室:アミノ酸、電解質、ビタミン
・小室:ビタミン
誤投与防止のため、隔壁及び小室の両方を開通しなければ薬液が排出されない、未開通投与防止機構
1号→2号→3号の順に糖濃度が高くなる。
エルネオパ
糖・電解質・アミノ酸・総合ビタミン・微量元素液の製剤
上室、小室V、小室T、下室の4室に成分を分け、使用直前に隔壁部を開通させ4液を混合させる。
・上室:糖質(ブドウ糖)、微量元素(ヨウ素)、電解質、ビタミン
・小室V:ビタミン
・小室T:微量元素(亜鉛、鉄、銅、マンガン)
・下室:アミノ酸、電解質、ビタミン
1号→2号の順で糖濃度が高くなる。

PPN

腕などの末梢静脈から点滴投与することを主な目的とした糖質・電解質・アミノ酸などを含む輸液剤。
体内の水分量や電解質濃度が崩れると生命活動が正常に維持できなくなる。
水分や電解質を含む輸液剤を点滴により補給することで体液のバランスを整え病態の治療効果を高められる。
栄養分を含む輸液剤を腕などの末梢静脈から点滴投与することを末梢静脈栄養(PPN)という。
PPNは通常、食事が摂取できない期間が10日前後の場合などに行われる。
投与できるカロリーには限り(1000kcal程度)があるため、食事が摂取できない期間が2週を超えるような場合などには通常、高カロリーを投与できるTPNを用いる。
食欲不振や軽度の意識障害などにより経口からの栄養摂取が不十分な場合での使用。
比較的栄養状態は良いが経口摂取ができない手術前後における使用。

注意点・副作用

消化器症状
吐き気・嘔吐など
循環器症状
胸部不快感、動悸など
血管痛、静脈炎
主に輸液の浸透圧やpH、滴定酸度の影響により血管痛や静脈炎があらわれる場合がある。
K含む製剤に関する注意
大量・急速投与することで高K血症があらわれる可能性があるため輸液濃度、投与速度、投与量などを十分に守って投与する。
副腎機能不全、腎機能障害、抗アルドステロン薬(エプレレノンなど)、ACE阻害薬、ARBの使用時などは高カリウム血症により注意が必要

製品

アミノフリード
7.5%ブドウ糖・電解質・アミノ酸液製剤
電解質としてNa、Cl、K、Ca、Mg、Pなどを含む。
創傷治癒や各種栄養素の代謝などに関与する微量元素の亜鉛も含有。
1つのソフトバックに貫通できる隔壁を設けたダブルバック方式。
ブドウ糖とアミノ酸がそれぞれ別室に充填され、配合時に生じる褐変現象(メイラード反応)を防止。
メイラード反応:還元糖とアミノ化合物(アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質)を加熱したときなどに見られる、褐色物質(メラノイジン)を生み出す反応。褐変反応 (browning reaction) とも呼ばれる。アミノカルボニル反応の一種であり、褐色物質を生成する代表的な非酵素的反応。
ビーフリード
7.5%ブドウ糖・電解質・アミノ酸・ビタミンB1液製剤
アミノフリード輸液にビタミンB1を配合。
ビタミンB1欠乏による乳酸アシドーシスなどの懸念を軽減。
1つのソフトバックに貫通できる隔壁を設けたダブルバック方式。
ブドウ糖とアミノ酸がそれぞれ別室に充填され、配合時に生じる褐変現象(メイラード反応)を防止。
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