主な抗生剤・抗菌剤をリストします。
主としてグラム陽性菌に作用するもの
リンコマイシン系抗生物質製剤
機序: 細菌の70Sリボゾ-ムの50Sサブユニットと強く結合して,蛋白合成を阻害する
リンコマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属 、赤痢菌 、(マイコプラズマ属:未承認)
ダラシン [クリンダマイシン]
リンコシン [リンコマイシン]
バンコマイシン製剤
機序: D-アラニル-D-アラニンに結合して細胞壁合成酵素を阻害し、菌の増殖を阻止する。
(MRSA) を殺菌でき、は最強の抗生物質といわれたことも。吸収されることがく、腸などの消化管内の静菌・殺菌に有効。
塩酸バンコマイシン散
主としてグラム陰性菌に作用するもの
アミノ糖系抗生物質製剤
機序: アミノグリコシド系抗生物質。酸素依存性に細胞膜から細菌細胞内へ輸送され、真正細菌のリボソームに作用して蛋白質合成を阻害。
殺菌的で、なおかつ抗菌スペクトルが広いが、内耳神経や腎臓への強い毒性、嫌気環境では作用しない欠点。
殺菌的で、なおかつ抗菌スペクトルが広いが、内耳神経や腎臓への強い毒性、嫌気環境では作用しない欠点。
抗結核菌作用のあるもの:ストレプトマイシン (SM)、カナマイシン (KM)。
抗緑膿菌作用のあるもの:ゲンタマイシン(GM)、トブラマイシン(TOB)、アミカシン(AMK)、ジベカシン(DKB)。
抗MRSA作用のあるもの:アルベカシン (ABK)。
抗緑膿菌作用のあるもの:ゲンタマイシン(GM)、トブラマイシン(TOB)、アミカシン(AMK)、ジベカシン(DKB)。
抗MRSA作用のあるもの:アルベカシン (ABK)。
カナマイシン
その他の主としてグラム陰性菌に作用するもの
機序:
セフテム [セフチブテン]
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
ペニシリン系抗生物質製剤;合成ペニシリン
機序: β-ラクタム系抗生物質。
細胞壁の主要成分であるペプチドグリカンを合成する酵素(PBP)と結合し、その活性を阻害する。この結果ペニシリンが作用した細菌はペプチドグリカンを作れなくなり、その分裂に伴って細胞壁は薄くなり、増殖が抑制される(静菌作用)。また細菌は細胞質の浸透圧が動物の体液よりも一般に高いため、ペニシリンの作用によって細胞壁が薄くなり損なわれた細菌細胞では外液との浸透圧の差から細胞内に外液が流入し、最終的には溶菌を起こして死滅する(殺菌作用)。
細胞壁の主要成分であるペプチドグリカンを合成する酵素(PBP)と結合し、その活性を阻害する。この結果ペニシリンが作用した細菌はペプチドグリカンを作れなくなり、その分裂に伴って細胞壁は薄くなり、増殖が抑制される(静菌作用)。また細菌は細胞質の浸透圧が動物の体液よりも一般に高いため、ペニシリンの作用によって細胞壁が薄くなり損なわれた細菌細胞では外液との浸透圧の差から細胞内に外液が流入し、最終的には溶菌を起こして死滅する(殺菌作用)。
ペニシリンが第一選択となる疾患:定型肺炎、梅毒、咽頭炎、中耳炎、副鼻腔炎、感染性心内膜炎、壊死性筋膜炎。
サワシリン [アモキシシリン]
ビクシリン [アンピシリン]
ペングッド [バカンピシリン]
ユナシン [スルタミシリン]
セフェム系抗生物質製剤
機序: β-ラクタム系抗生物質。β-ラクタム環にヘテロ六員環がつながった形。
ペニシリンがほとんどグラム陰性菌に対して作用しないのに対して、セファロスポリンは一部グラム陰性菌にも作用を持つ。
L-ケフレックス顆粒 [セファレキシン]
ケフラール [セファクロル]
オラスポア小児用DS [セフロキサジン]
セフスパン [セフィキシム]
トミロン [セフテラム ピボキシル]
オラセフ [セフロキシム]
バナン [セフポドキシム]
セフゾン [セフジニル]
メイアクト [セフジトレンピボキシル]
フロモックス [セフカペンピボキシル]
エポセリン坐剤
ホスホマイシン製剤
機序: 細菌の細胞壁合成(UDP-N-アセチルグルコサミン→UDP-N-アセチルグルコサミンエノールピルビルエーテルへの反応)を阻害する。
ホスホマイシンに感性のブドウ球菌属、大腸菌、赤痢菌 (内服だけ)、サルモネラ属、セラチア属(内服だけ)、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア・レットゲリ、緑膿菌、カンピロバクター属(内服だけ)
ホスミシン [ホスホマイシン]
その他の主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
機序:
ファロム [ファロペネム]
オラペネム [テビペネム ピボキシル]
オーグメンチン・クラバモックス
主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの
スピラマイシン系抗生物質製剤
機序:
アセチルスピラマイシン
ジョサマイシン製剤
機序: 細菌の70Sリボゾームの50Sサブユニットと強く結合して,蛋白合成を阻害する。
ジョサマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、赤痢菌(錠だけ)、肺炎球菌、インフルエンザ菌(DSだけ)、マイコプラズマ属
ジョサマイシン
その他の主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの
機序: 真正細菌のリボゾームの50Sサブユニットという部分に結合することによって、細菌のタンパク合成を阻害することによる。
真核生物ドメインのリボゾームは、真正細菌ドメインのリボゾームとは構造が異なっているので、人間のタンパク合成は阻害されない。
リボゾームの構造の違いを利用した選択毒性を用いている抗生物質にはクロラムフェニコール、テトラサイクリン系、アミノグリコシド系がある。ただし細かな結合部位と作用機序は異なる。
微生物学的には、この作用機序は主に静菌的、つまり、あくまでも増殖の抑制作用であり、菌の殺滅は宿主の免疫に依存しているが、高濃度では殺菌的にも働きうる。
時間依存性の薬物。MICよりも高い濃度を長く保つ。それ以上濃度を上げても、基本的にはあまり意味が無い。
真核生物ドメインのリボゾームは、真正細菌ドメインのリボゾームとは構造が異なっているので、人間のタンパク合成は阻害されない。
リボゾームの構造の違いを利用した選択毒性を用いている抗生物質にはクロラムフェニコール、テトラサイクリン系、アミノグリコシド系がある。ただし細かな結合部位と作用機序は異なる。
微生物学的には、この作用機序は主に静菌的、つまり、あくまでも増殖の抑制作用であり、菌の殺滅は宿主の免疫に依存しているが、高濃度では殺菌的にも働きうる。
時間依存性の薬物。MICよりも高い濃度を長く保つ。それ以上濃度を上げても、基本的にはあまり意味が無い。
マクロライド。比較的副作用が少なく、抗菌スペクトルも広い。ことにリケッチア、クラミジアなどの細胞内寄生菌や、マイコプラズマに対しては第一選択薬となる。小児から老人まで広く処方される頻用薬の一つであるが、一方ではその汎用性が一因となってマクロライド耐性を示す微生物が増加しており、医療上の問題になっている。また、他の薬物との薬物相互作用が問題となる場合もある。
マクロライド環。大分子量のラクトン環。14員環、15員環、ないし16員環でありうる。
マクロライドは、宿主の細胞内への浸透性が高く、特に白血球の中に蓄積しやすい。
マクロライド環。大分子量のラクトン環。14員環、15員環、ないし16員環でありうる。
マクロライドは、宿主の細胞内への浸透性が高く、特に白血球の中に蓄積しやすい。
ルリッド [ロキシスロマイシン]
クラリス [クラリスロマイシン]
ジスロマック [アジスロマイシン]
主としてグラム陽性・陰性菌、リケッチア、クラミジアに作用するもの
クロラムフェニコール製剤
機序: 細菌の70Sリボゾームの50Sサブユニットと強く結合して,蛋白合成を阻害する。
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、髄膜炎菌、大腸菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、クレブシエラ属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、軟性下疳菌、百日咳菌、野兎病菌、ガス壊疽菌群、リケッチア属、トラコーマクラミジア(クラミジア・ トラコマティス)
クロロマイセチン
テトラサイクリン系抗生物質製剤
機序: 微生物のリボソームの30Sサブユニットに結合し、リボソームに対してアミノアシルtRNA(アミノ酸の結合したtRNAの総称)が結合するのを阻害し、蛋白合成初期複合体を形成できなくする。
抗菌スペクトラムは、全ての抗生物質で最も広い部類。
微生物への選択毒性であるが、抗マラリア剤として使用されているくらいなので、真核細胞リボソームに全く結合しない訳ではない。
微生物への選択毒性であるが、抗マラリア剤として使用されているくらいなので、真核細胞リボソームに全く結合しない訳ではない。
アクロマイシン
レダマイシン
ビブラマイシン
ミノマイシン [ミノサイクリン]
主として抗酸菌に作用するもの
サイクロセリン製剤
機序: ヒト型結核菌に強く作用するが、他のグラム陽性菌・陰性菌に対する作用は弱い。細胞壁合成阻害。
ストレプトマイシン、バイオマイシン、パラアミノサリチル酸カルシウム、イソニアジドなどに耐性な結核菌に対しても作用。
サイクロセリン
リファンピシン製剤
機序: DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害し、RNA合成阻害。
本剤に感性の結核菌、らい菌。未承認:メチシリン・セフェム耐性黄色ブドウ球菌、オウム病クラミジア、レジオネラ・ニューモフィラ、淋菌、髄膜炎菌、非定型抗酸菌
リファジン [リファンピシン]
その他の主として抗酸菌に作用するもの
機序:
ミコブティン
主としてカビに作用するもの
(ポリエンマクロライド系抗生物質製剤)ナイスタチオン製剤
機序:
ナイスタチン
アムホテリシンB製剤
機序:
ファンギゾン
その他の主としてカビに作用するもの
機序:
ブイフェンド [ボリコナゾール]
サルファ剤
イソキサゾール核を有するサルファ剤
機序: スルファメトキサゾールは「パラアミノ安息香酸(PABA) → ジヒドロ葉酸」の過程を阻害し、トリメトプリムは「ジヒドロ葉酸 → テトラヒドロ葉酸」の過程を阻害。
2つの成分は両方とも葉酸合成系を阻害。
2つの成分は両方とも葉酸合成系を阻害。
ニューモシスチス肺炎
スルファメトキサゾール [トリメトプリムとの組み合わせで相乗効果]
抗結核剤
パラアミノサリチル系製剤
機序: 葉酸合成を阻害
抗結核剤
アルミノニッパスカルシウム
イソニアジド系製剤
機序: イソニコチン酸アシルとNADHとをカップリングするカタラーゼKatGによって活性化され、イソニコチン酸アシル-NADH複合体を形成。
この複合体は、ケトエノイルレダクターゼと強固に結びつくことで、天然のエノイル-AcpM基質を阻害し、脂肪酸合成酵素のはたらきも阻害。
マイコバクテリウム属の細胞壁に必要なミコール酸の生合成が阻害される。
この複合体は、ケトエノイルレダクターゼと強固に結びつくことで、天然のエノイル-AcpM基質を阻害し、脂肪酸合成酵素のはたらきも阻害。
マイコバクテリウム属の細胞壁に必要なミコール酸の生合成が阻害される。
イソニアジドに対して結核菌は耐性を急速に獲得することが知られているので、単独で治療に用いられることはほとんどない。
ピリドキシン(ビタミンB6)の枯渇による副作用など副作用多い。
(イソノアジドで発生する副作用の多発性神経炎はピリドキシン投与で軽減できる)
ピリドキシン(ビタミンB6)の枯渇による副作用など副作用多い。
(イソノアジドで発生する副作用の多発性神経炎はピリドキシン投与で軽減できる)
イスコチン
ネオイスコチン
デルティバ
合成抗菌剤
ピリドンカルボン酸系製剤
機序: DNAジャイレースを阻害することにより、殺菌的に作用する。
DNAジャイレースは細菌が持つDNAトポイソメラーゼII型の1種。
DNA二本鎖の両鎖を切断することにより鎖を回転させねじれをとる働きをして、細菌のDNA複製には欠かせない酵素。
DNAジャイレースは細菌が持つDNAトポイソメラーゼII型の1種。
DNA二本鎖の両鎖を切断することにより鎖を回転させねじれをとる働きをして、細菌のDNA複製には欠かせない酵素。
キノロン系、ニューキノロン系(フルオロキノロン系)。
好気性・グラム陰性菌には著効するが、それ以外の効果には差がある。
ガチフロキサシンやモキシフロキサシンは肺炎球菌に効果的でシプロフロキサシンは黄色ブドウ球菌によく効く。
緑膿菌など好気性グラム陰性菌に対してはシプロフロキサシンの方が活性が高く、肺炎球菌にはレボフロキサシンの方が活性が強い、など。
ニューキノロンと呼ばれる抗菌薬は、6位 にフッ素原子を有する。薬品名の語尾に「-floxacin」 を付ける。
一般には小児や妊婦で使用は禁忌。
好気性・グラム陰性菌には著効するが、それ以外の効果には差がある。
ガチフロキサシンやモキシフロキサシンは肺炎球菌に効果的でシプロフロキサシンは黄色ブドウ球菌によく効く。
緑膿菌など好気性グラム陰性菌に対してはシプロフロキサシンの方が活性が高く、肺炎球菌にはレボフロキサシンの方が活性が強い、など。
ニューキノロンと呼ばれる抗菌薬は、6位 にフッ素原子を有する。薬品名の語尾に「-floxacin」 を付ける。
一般には小児や妊婦で使用は禁忌。
ピペミド
バクシダール [ノルフロキサシン]
タリビッド [オフロキサシン]
シプロキサン [シプロフロキサシン]
バレオン
オゼックス [トスフロキサシントシル酸]
クラビット [レボフロキサシン]
スオード [プルリフロキサシン]
アベロックス [モキシフロキサシン]
ジェニナック [ガレノキサシン]
グレースビット [シタフロキサシン]