名 称
前胡 (ゼンコ)
Latin Name
Peucedani Radix
基 原
中国の山野に自生するセリ科(白花前胡)または日本の山野に自生するセリ科ノダケの根
分 類
化痰薬
中 医 学
下気化痰・疏散風熱
用 途 等
頭痛、胸のつかえ、痰
薬理作用
抗炎症作用・抗浮腫作用・腸管血流量増加作用
能書・説明
前胡 ゼンコ
古来、本邦での本草各書『用薬須知』『重修本草綱目啓蒙』『救荒本草』ではノゼリ、ノダケを使用していた経緯を散見するが、中国の本草諸誌及び近年の研究結果から、現在流通する前胡の多くは白花前胡Peucedanum praeruptorum Dunnの根を乾燥したものを正品とし使用している。昨今でも、中国東北地区には兩種が分布し、採集される現場を確認しているが量的には白花系が多い。白花前胡は中国江蘇省、安省、江西省、四川省などに広く分布し、山地の林下、向陽の草地、荒地などに自生する多年生草本。7~9月、茎の先及び葉腋に白色或は紫白色の小さな花を多数付けた複散形花序を結ぶ。生薬は特異なにおいがあり、わずかに苦い味がある。根が肥大充実し、断面が黄白色(類白色)で、香気の強いものが良い。白花前胡と紫花前胡は地上部で花の色調を異にするが、内部構造で根の横切面を確認すると、白花前胡は師部が広範囲を占め、木部、師部に多くの油室を含む。紫花前胡は木部が広範囲を占め、油室は皮部に見られるものの木部にはほとんどない等判別は明瞭である。『名医別録』に「痰を去り、氣を下し、傷寒の寒熱を治し、新陳代謝を盛んにし、目を明らかにし、精を益す・・」とし、『日華子本草』では「一切の氣を治し、結を破り、胃を開き、食物を落付け、五臓を通じ、霍亂轉筋、骨節煩悶、氣喘咳嗽に主効があり、胎を安んじ、小児一切の疳氣を治す」とある。