名 称
天門冬 (テンモンドウ)
Latin Name
Asparagi Radix
基 原
ユリ科クサスギカズラのコルク化した外層の大部分を除いた根を通例、蒸したもの
分 類
補陰薬
中 医 学
滋陰潤燥・清熱化痰
用 途 等
鎮咳、強壮、口渇
薬理作用
抗腫瘍作用・インターフェロン誘起作用・放射線障害改善作用
能書・説明
天門冬 テンモンドウ
『神農本草経』の上品に収載され、原名を“天冬”という。『本草綱目』では「草の茂る状態をという。俗に門と書く、この草は蔓が茂るもので、功力が麦門冬と同じだ、故に天門冬というのである・・」と収載がある。朝鮮半島、中国、日本の本州、四国、九州の海辺に自生する多年生草本。中国では貴州省、四川省、広西省など広い地域で確認される。茎の上部は他物にまといつき、長さ1~2mとなる。初夏に1~3個のやや緑色を帯びた白色の鐘状漏斗形、長さ約3cmの花を腋生する。地下にはサツマイモのように膨らんだ紡錘形、長楕円形で灰黄色の根が多数群がって付く。この根を薬用とし、湯通ししてコルク状の外層を除き調製、“天門冬”の名で生薬とする。収穫は9月頃から掘り取り、翌春の新芽がでるまで採取が可能。採取したものを水洗して、熱湯に付け、上皮を剥ぎ、陽乾する。生薬は紡錘形~円柱形、長さ5~15cm、径0.5~2cm、外面は淡黄褐色~淡褐色、半透明、縦じわがある。質は柔軟性で、堅く折りやすい。横切面は灰黄色でつやがあり、やや角質ようである。内部形態で見られるシュウ酸カルシウムの束晶を含む粘液細胞の確認が大きな特徴。先人は「採集して茹でて、皮を剥き、乾燥させるが、乾燥不十分だと直ぐかびを生やすので、注意を必要とする。飴色に仕上げ、潤いを有し、色の黒くないものが良質品、黒くすると値打ちが下がって良くない」とし、乾燥条件など調製法にコツがあると言及する。