名 称
蒺梨子 (シツリシ)
Latin Name
Tribuli Fructus
基 原
ハマビシ科ハマビシの果実
分 類
辛温解表薬
中 医 学
疏肝熄風・行瘀去滞・解欝・明目・止痒
用 途 等
頭痛、眼疾患、母乳不足、月経不順
薬理作用
鎮痙作用・臓器血流量増加作用・血管透過性抑制作用・体温降下作用・筋収縮作用
能書・説明
蒺梨子 シツリシ
本属の植物は約20種あり、日本の関東以西、四国、九州及び、アジア、アフリカ、南ヨーロッパ、中国など広い地域に分布し、海浜砂地に自生する1~2年生草本である。日本にはハマビシ1種が自生する。5~7月、葉から出る短い柄の先に黄色、白色或いは淡黄色の径8~10mmの小さな5弁花を葉腋に1個ずつ上向きに開くが、午後に萎んでしまう一日花の可憐さがある。花がすめば下向きになって果実が熟す。果実は朔果、径約1cm、熟して5片に分かれ、五角星状を呈し各分果にそれぞれ長短2本10個の刺があって2~5個の種子を含む。生薬はハマビシTribulus terrestris L.の果実が使用される。生薬となった果皮は堅く、切断面は白色或いは黄白色で分果には油性の種子を含み、ほとんどにおいがなく、味は初め緩和で、後に苦い。薬効は強壮薬となり、神経衰弱や眼疾に用いる。比較的に体力の低下した人の皮膚疾患に効があり、分泌の少ない慢性湿疹、痒みに応用、当帰飲子、洗肝明目湯に配剤がある。日本の海岸にも多くを見るが、生薬としての生産はなく、全て中国河南省、安徽省、山東省からの輸入である。『本草綱目』などに“茨”“屈人”“止行”などの異名が記されているが、李時珍は「は疾(トシ・ハヤシ)である。梨(藜)は利(スルドシ)である。茨は刺で、この草は人を刺し、傷つけることが甚だ疾く利といふことだ。久しく服すれば、肌肉を長じ、目を明にし、身を軽くする」と解説している。