ブドウ球菌属
Genus Staphylococcus
[ ブドウ球菌属 ]
グラム陽性球菌
MEMO
ブドウ球菌属(Staphylococcus属)に属するグラム陽性球菌である真正細菌の総称。通性嫌気性の有機栄養菌。
「ブドウの房」のように見えるため、もう一つのグラム陽性球菌のグループである直鎖状に配列する連鎖球菌との対比から「ブドウ球菌」と名付けられた。
カタラーゼ陽性(カタラーゼ酵素を有すること)と、ブドウ糖を嫌気的に発酵する性質から、他の代表的なグラム陽性球菌と鑑別される。
血漿を凝固させる働きを持つタンパク質であるコアグラーゼを産生するかどうかが、ヒトに対する病原性と密接に関連している。
36菌種19亜種あるが、「表皮ブドウ球菌」「黄色ブドウ球菌」「腐性ブドウ球菌」の3菌種に分類。
ヒトから分離される15種のブドウ球菌のうちでは、最も病原性が高い黄色ブドウ球菌だけがコアグラーゼ陽性でコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Coagulase -negative staphylococci, CNS)は黄色ブドウ球菌以外の種を指す。主に「表皮ブドウ球菌」。
増殖の際に体外タンパク質毒素として分子量19000から29000前後の単純タンパク質(エンテロトキシン)を数10種類の産生する。
エンテロトキシンは、熱、消化酵素(トリプシン)により破壊されない。つまり、調理の熱で菌を失活(死滅)させてもエンテロトキシンは残るだけで無く、消化器官中で分解されないため毒素型食中毒の重要な原因となっている。体内で増殖した場合、敗血症、毒素性ショック症候群(TSS)、軟部組織感染症、肺炎、心内膜炎、川崎病、慢性副鼻腔炎、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患など重要な疾病との関連性が指摘されている。