名 称
釣藤鈎 (チョウトウコウ)
Latin Name
Uncariae Uncis cum Ramulus
基 原
アカネ科カギカズラなどの釣棘
分 類
鎮痙薬
中 医 学
平肝止痙
用 途 等
頭痛、めまいを伴う高血圧、小児のひきつけ
薬理作用
腸管血流量増加作用・血圧降下作用・中枢作用・認知機能改善作用・末梢神経系の作用・抗セロトニン作用・脂質酸化抑制作用
能書・説明
釣藤鈎 チョウトウコウ
『名医別録』の下品に“釣藤”の名で収載されている。李時珍は「その刺が曲がって釣鈎のやうだから名づけたものだ。或いは弔とも書くが、それは簡単で書き易いからである・・形状は葡萄の藤のやうで鈎があり、紫色である。古方には多く皮を用ゐてあるが、後世では多く鈎を用ゐる。その力の鋭い點を用ゐるわけだ」と解説。古くから、小児の驚熱、発疹、大人の頭痛、目眩などに利用されている。釣藤は元来、小児の癇の薬として用いられ、『千金方』『外台秘要』の小児門において、癇に属する病気にこれを用いている。しかし、後年は小児に限らず大人の癇、脳動脈の硬化にも応用があり、体力中等度の人で、神経過敏で興奮しやすく、怒りやすい、イライラする、眠れないなど、精神神経症状を訴える人に効果のある抑肝散、釣藤散などに配剤される。『名医別録』『重修本草綱目啓蒙』に鈎の部分の重要性と使用の示唆がある。カギノツル、タケカズラ、サネカズラの別名があり、古来地域的にかなり使用されていたことを察する事ができる。原植物のカギカズラは本州房総半島以西、四国、九州の谷川や林内の湿気のある山地に生える常緑のつる性の木本で、10mに達するものもある。葉腋に枝の変化した鉤形の刺が対生、単生交互に付き下方に曲がり、初め緑色を呈し秋に赤褐色に変化する。この鈎刺を乾かして薬用とする。釣藤の商品的品質としては、習慣上、双鈎で紫紅色を呈するものを良品とする。