名 称
防風 (ボウフウ)
Latin Name
Saposhnikoviae Radix
基 原
セリ科ボウフウの根及び根茎
分 類
辛温解表薬
中 医 学
去風解表・去湿解痙・止瀉止血
用 途 等
関節痛、偏頭痛、結膜炎
薬理作用
抗炎症作用・血圧降下作用・中枢抑制作用・抗潰瘍作用・免疫賦活作用
能書・説明
防風 ボウフウ
「華ヨリ來ル防風ハ脂潤多キモノヲ佳トスルガ、江州、伊吹山ニ出ズル者極テ良品デ、華産ト異ナルトコロナシ、性味充實ス」等『用薬須知』『一本堂薬選』『本草綱目啓蒙』の記述から国内に自生する植物が使用されていたものと解釈する。しかし、漢方薬の普及は生薬原料の真偽評価が注視され、基原種を大きく代える結果に至った。本草書各書を鋭見すると、解説は中国産を指示するもので、総合的見地から基原種の改正が行われ、中国産防風の使用がある。享保年間中国から生苗が入り、江戸官園又は奈良県宇陀郡大宇陀町森野薬園に栽培され「藤助防風」「宇陀防風」の名が残り、大和防風として育生された。原植物Saposhnikovia divaricata(Turcz.)Schischkinは中国東北部から華北に自生する多年生草本で、高さ20~80cm、花期は8~9月。現在流通する防風は殆ど中国からの輸入品である。繁殖は春秋の2回、生長後2年後の春或いは秋に収穫する。主薬は頭部に多くの密集した環節が見られ、褐色の毛状になった葉鞘の残基を付けることがある。葉の基部が残存し、繊維束となっている。所謂“ミミズの頭”状を呈する。質地は海綿状を呈した繊維性である。横切面には、多数の放射状裂隙(菊花芯様)と黄褐色の細点が散在する。弱いにおいがあり味はわずかに甘い。防風は発汗、解熱、頭痛、目眩、骨折疼痛、四肢攣急などの薬能があり、漢方方剤での要薬で皮膚疾患、消炎排膿、鎮痛と見なされる処方に配合される。