名 称
枳実 (キジツ)
Latin Name
Aurantii Fructus Immaturus
基 原
ミカン科ダイダイやナツミカンなどの未熟果実
分 類
理気薬
中 医 学
行気消積
用 途 等
消化器症状、消化器系の機能低下
薬理作用
心臓への作用(血圧上昇 心機能促進など)・胃腸運動亢進 調整作用・平滑筋弛緩作用・子宮筋収縮抑制作用・血液凝固抑制作用・抗炎症 抗アレルギー作用・抗腫瘍作用
能書・説明
枳実 キジツ
“枳実・枳殻”は古来から諸論が散見され中国国内でも、省によって、又、学者間での見解に差を見る複雑な生薬と考える。「七月八月に採ったものが實であり、九月十月に採ったものが殻である。今醫家では皮が厚くして小なるものを枳實とし、完くして大なるものを枳殻とする」など諸説があり、国内の漢方諸家も「古方に枳実を、後世方に枳殻を用いると」いわれている。公定書では「ダイダイCitrus aurantium Linne´ var. daidai Makino、Citrus aurantium Linne´又はナツミカンCitrus natsudaidai Hayataを主体にハッサクC. aurantium subsp. hassaku Hiroe(C. hassaku hort. ex T. Tanaka)を加えて、これらの未熟果実をそのまま又はそれを半分に横切したもの」が枳実とされ、流通している。主たる基原種ダイダイは正月の飾り物として色が戻ることの縁起モノとし、また乳頭が二つ重なっており、台が二つなのでダイダイという呼称がある。ヒマラヤ原産で広く温帯の各地に栽培される高さ5~10mに達する常緑低木。花は5月。わが国では中部以南の人家に栽植が見られる。和歌山県、広島県、愛媛県に多い。Citrus aurantiumは中国で酸橙と呼ばれ、四川省、江西省で栽培されている。気が滞って、腹が張って苦しく、疼痛、悪心、おくびが出て、便秘をしている場合に消化液の分泌を促進させ、また、急性胃炎、消化不良、胃拡張などに応用され漢方処方用薬としては瀉下薬と見なされる処方に配合される。