名 称
麦門冬 (バクモンドウ)
Latin Name
Ophiopogonis Tuber (Ophiopogonis Radix)
基 原
ユリ科ジャノヒゲなどの根の膨大部
分 類
補陰薬
中 医 学
潤燥生津・化痰止咳
用 途 等
咳嗽
薬理作用
鎮咳作用・血糖降下作用・抗炎症作用・抗アレルギー作用・抗腫瘍作用
能書・説明
麦門冬 バクモンドウ
本草各書で陶弘景は「冬月ニ實ヲ作ス青珠ノ如シ」、陳蔵器は「其子圓ク碧シ」とあり、又蘇頌は「實碧クシテ圓ク珠ノ如シ」と全てがジャノヒゲの使用を指示している。台湾、韓国、中国の一部の省でヤブランを認めているが、古来からの使用基原はジャノヒゲOphiopogon japonicus Ker-Gawlerの根の膨大部。『日華子本草』、『古方薬議』では「熱を瀉し、燥を潤し、咳を止め、気を下す…」とあり、鎮咳、去痰、強心への薬効が期待され、漢方方剤の鎮咳去痰薬と見なされる処方に配合。原植物ジャノヒゲは中国、朝鮮半島、日本に分布、各地山林の樹陰地に自生、また庭園に栽培される常緑の多年生草本。地下に長いストロンを出し繁殖する。5~8月葉間から2~5cmの花茎を出し、8~10個の淡紫色又は白色の小花をやや下向きに付ける。7~9月に結実、果実は球形の濃青色で、液果状を呈し、種子を裸出、果皮は退化、種皮は肉質で弾性に富む。花の直後、心皮は突然生長を止め、子房内の卵子が外に露出、緑色がさらに熟して藍色となる。生薬の生産はかって大阪府下(河内長野付近)、長野、群馬、鳥取の各地で栽培されたが、現在は中国浙江省(杭州、余姚)、四川省(綿陽、三台)を中心に広く栽培が行われ、それぞれの省を代表しての名称が付され、杭麦冬、浙麦冬、川麦冬と称し、大きさ、形状、色調、味を特徴として自省産を評価して流通させている。新鮮で潤いがあり肥大し、淡黄白色、質が柔軟、噛んで粘り気がでるものを良質品とする。