名 称
当帰 (トウキ)
Latin Name
Angelicae Radix (Angelicae Acutilobae Radix)
基 原
セリ科トウキの根
分 類
補血薬
中 医 学
補血・行血・潤腸・調経
用 途 等
貧血傾向、各種婦人科症
薬理作用
免疫賦活作用・中枢抑制作用(鎮静 催眠の延長 血圧降下体温低下 自発運動抑制など)・鎮痛 解熱作用・筋弛緩作用・末梢血管拡張作用・抗炎症 抗アレルギー作用・抗腫瘍作用・抗癌剤の副作用軽減作用
能書・説明
当帰 トウキ
日本を代表する地道生薬の1つで、特に大和地方を主産とする「大和当帰」は享保14年(1729年)植村左平次が森野藤助と共に大和地方を採薬行に歩いた時に栽培が始まったと伝わる。牡丹、ト薬、貝母皆同時期に開始されている。色艶、におい、味は現在でも伝承され、良質品の生産がある。根茎は太く肥厚し、多数の側根をつける。8~10月、枝先に多数の複散形花序数個をつけ、良質の当帰を生産するには栽培及び調製に苦労があり、大量生産への工夫が必要である。特に抽苔を防ぐ目的から“芽くり”即ち、春に苗を定植する前、植える苗の選定を行う。つまり、太い苗は1年目で開花してしまい、根に木質の芯が出来、根の肥大が止まり、薬用としての価値をなくすので、鉛筆位に育ったものの苗の基部の頂芽の芯の部分を基部から切り去り、芯の中心部を竹べらでえぐり取り苗として定植する。これにより秋には立派な根に成長する。生育した根は秋に収穫されて乾燥、翌年の2月に“湯揉み洗い”即ちまな板の上で乾燥した当帰の根を50℃前後の少し熱い湯につけながら揉み洗いをし、根の型を整へることが行われる。そして再度乾燥させ仕上げる。この二大作業の実施により、濃い褐色となり、におい及び甘味が増し、良質の商品として調製される。何れにせよ当帰は国内の生産に限られる生薬であり、更に良質な「正品」としての当帰の供給が必要とされる品目である。婦人病を対象とした方剤中に配合される。