名 称
桂皮 (ケイヒ)
Latin Name
Cinnamomi Cortex
基 原
クスノキ科ケイの樹皮。厳密には桂皮と桂枝は異なるが、日本漢方ではほとんどの場合、桂皮を使用している
分 類
辛温解表薬
中 医 学
発汗解表・温通経脈・通陽化気
用 途 等
頭痛、発熱、軽い悪寒、発汗し痛みがあるとき
薬理作用
発汗解熱作用・鎮静 鎮痙作用・末梢血管拡張作用・血圧降下作用・抗血栓作用・放射線障害防護作用・抗潰瘍作用・抗炎症 抗アレルギー作用・抗菌作用・水分代謝調節作用・消化吸収抑制作用
能書・説明
桂皮 ケイヒ
『神農本草経』の上品に“菌桂”“牡桂”の名称で収載。以後の各本草書でも詳述されている。わが国にも正倉院に奉納された薬物の中に“桂心”の名で残され、桂皮であることが立証されている。すでに『Dioscorides』のギリシヤ本草にはKinnamon kassiaの名があり、使用前例は古い。Cinnamomum cassia Blumeは中国西南部に自生し、高さ12mにも達する常緑高木である。樹皮は灰褐色で、各花は小さく、径約3mm、白色~黄白色。樹皮を桂皮と呼び、薬用とする。わが国で用いられる薬用の桂皮は主として中国の広東省、広西省産である。他にベトナム産桂皮がある。又、欧米で香料として重用されるシナモンはスリランカに産する同属種の樹皮。桂は現在、中国では“肉桂”日本では“桂皮”と呼んで同じものを名称を異にして用いられている。特異な芳香があり、味は甘く、辛く、後にやや粘液性で、わずかに収斂性である。通常は芳香性健胃・駆風薬とされるが、薬能としては気の上衝を主治し、比較的に体力の低下した人で、下腹部から突き上げる症状、頭痛、のぼせ、発熱、悪風、自汗、身体疼痛、胃腸の機能を整えるなどに応用され、漢方薬の基本方剤である桂枝湯類をはじめ、湯、麻黄湯など多くの方剤に配合される。煎じると芳香を放ち、甘味があり、緩和作用によって辛辣味が減殺される。その代わりに辛辣味と芳香とによって気をめぐらせる力が強くなる。