名 称
茯苓 (ブクリョウ)
Latin Name
Poria Sclerotium
基 原
サルノコシカケ科マツホドの菌核
分 類
利水薬
中 医 学
利水滲湿・健脾和中・寧心安神
用 途 等
胃部ポチャポチャ音、全身衰弱、動悸、尿量減少、めまい
薬理作用
利尿作用・抗腫瘍作用・免疫賦活作用・抗炎症作用・性ホルモンヘの作用(プロゲステロン増加など)・腎障害改善作用・心臓収縮作用・抗潰瘍作用・血液凝固抑制作用
能書・説明
茯苓 ブクリョウ
茯苓はサルノコシカケ科に属する担子菌ブクリョウPoria cocos Wolfの菌核で通常、アカマツ、クロマツそして中国では雲南松、馬尾松など、特にマツ属植物の根に菌核を形成する。『神農本草経』に始まる古来の本草書には必ず収載され、薬能、産地、性質が詳述されている。昭和30年頃までは国内で多くを産出した記録が残るが、開発が進み、松林は切られ、国内産は極限られた地域の産出が実状である。中国では早くから人工栽培に着手し、大量での生産を成功させたこともあり、近年は培養茯苓が輸入されている。野生品からの切り替えを速やかに実現させ、栽培品を安価に流通させることができた影響は大きい。特に雲南省に産するものは“雲苓”と称し高い評価がある。収穫は茯苓突きで行われる。菌核はアカマツや、クロマツの伐採して4~5年目を経過した切り株附近で、地上から深さ10~20cmの根に付着形成している。秋から翌春にかけて鋼鉄の金棒で存在感のある附近を突いて歩く。突き当てると金棒の先に白色の菌核が附着している。この個所を掘り採集、外皮の褐色の部分を軟弱のうちに剥ぎ、白色の部分を残り調製する。生薬は菌糸、顆粒体、粘液核からなる。質が重く、帯赤白色で粘り気があり、噛むとねっちりとして、歯にくっつくような感じを受けるものを重用する。『重校薬徴』に「利水ヲ主ル故ニ停飲、宿水、小便不利、眩、悸、潤動ヲ治シ、兼ネテ、煩燥、嘔渇、下痢、咳、短氣ヲ治ス」と解説される。