名 称
甘草 (カンゾウ)
Latin Name
Glycyrrhizae Radix
基 原
マメ科カンゾウなどの根およびストロン(つる性の茎)。炙甘草は甘草を炙ったもの
分 類
補気薬
中 医 学
補脾益気・清熱解毒・潤肺止咳
用 途 等
腹部の疼痛やケイレン、手足の冷え
薬理作用
鎮静 鎮痙作用・鎮咳作用。抗消化性潰瘍作用・利胆作用。慢性肝炎への作用(肝機能改善 保護作用)・抗炎症 抗アレルギー作用・ステロイドホルモン様作用・抗糖尿病作用・抗動脈硬化作用
能書・説明
甘草 カンゾウ
カンゾウは古く『ヒポクラテス全集』に始まり、中国では『神農本草経』の上品に「五臓や六腑の病、寒熱、邪気を主どる。筋骨を堅くし、肌肉を長じ、力を倍し、金そうや腫を治し、毒を解す‥」と収載されて以降、薬能、形質、産地など各本草書で詳述される。『本草綱目』では漢薬の王様と表現し、『傷寒論』には113処方の収載中70処方、『金匱要略』では262処方中92処方に配剤されるなど漢方薬での利用は顕著である。洋の東西に普及されているが、漢方処方への配合も含め、食品の甘味料、タバコのフレーバーなど使用範囲は広範である。
木村長久は「甘草は味甘平で其功能も味の甘いところにある。味の甘いところには和緩を以って主となす。急迫を緩め、閉塞を開き、毒を解し、気を寛除ならしめ、疼痛を去る、また、激烈な薬品と伍してその毒性を和らげ適度に作用する」と説明。薬方の調味を図り、胃腸の機能を整調することによって主薬の作用を援助する。漢方における甘草は解毒、胸痛、腹満、腹痛などの薬能を期待、他生薬との配合で大きな効果を表している。
中国東北地区、新疆を主体にシベリア、モンゴル各地に分布が見られ、生薬としての生産がある。薬用として使用されるのは中国産東北甘草及び西北甘草である。生産は乾燥した日向の草原または河川流域の砂質粘土地で栽培して育生したもの及び野生状に育ったものを収穫する。